
日帰り(!)で東京出張があったので、さて行き帰りの新幹線で何を読もうかな、と考えた。読みかけの稲垣足穂があるけど、ああいう本は乗れないときにはまったく乗れない恐れがあり、その場合せっかくの移動時間を無駄にすることになるから、まず間違いない本を選ぶべきである。
で、「間違いない」と踏んで持っていたのが小川洋子『博士の愛した数式』(新潮社)。かなり話題になった本で、すごく面白そうだと思ったのにまだ読んでなかったのだ。
予想に違わず、とても面白かった。
突っ込みどころはある。題材が題材だけに、数字の符合だとか、どうしても後出しジャンケン的な出来過ぎ感がぬぐえない。推理小説だったとしたら(違うけど)批難を浴びかねない。
でもそんな「欠点」なんか吹っ飛ぶくらいに面白かった。わりと前半、1から10までの数字を足していくつになるかを別の考え方で解くように、と博士に宿題を与えられた母子が、ついに正解にたどりついた場面、博士が感嘆するセリフに涙が出た。あ、譬喩ではなくて、本当に涙が目から溢れた。凄い!
「突っ込みどころはある」なんてわざわざアラ探しするようなことを書いたのは、「『欠点』なんか吹っ飛ぶくらいに面白かった」という一文が書きたかっただけの話で、僕のつまらない安っぽい修辞技法である。
簡単に書いてしまえば「僕はこの小説が大好きである。登場人物も、全部好きだ」で終わってしまう。
あ、それでいいのか。
深津絵里と寺尾聰で映画化されたそうだけど、う〜ん、配役的にどうだろう?
深津絵里はともかく、寺尾聰? もっとイッちゃってる役者いないかなぁ。登川誠仁が標準語喋れたらなぁ・・・なんて言ってもわからんか。
あ、それと勝手なイメージで申し訳ないけど、小説読みながら僕が主役の家政婦さんとして思い浮かべていた顔は、なぜか川本亜矢さんでした(笑)。なんでだろ。なんか、なんとなく。
あの、徐々に没入していく感じ? ははは、勝手にすみません。
・・・・・・
夕方までフォトショップのセミナー受けて、そのあと終発の新幹線の時間まで、あのカメラ物慾系名物サイト
『感染ルンです。。。』の銀治氏と新橋のオヤジ居酒屋で飲む。web上の付き合いは長いけど、実はお会いするのは初めてでした。
いやー、バリバリの同業者さん。同業者ならではの面白い話やら、怖い話やら、たぶん他の人の入って来れない話題で3時間。あ、普通のカメラオタク系の話もしましたけど。ノクチ、でか〜い。
たいへん面白うございました。ありがとうございました。またぜひ飲みましょう!
- 2009/07/02(木) 06:59:29|
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本棚から見たこともない『タルホ大阪・明石年代記』(人間と歴史社)という稲垣足穂の本が。
こんなの買った覚えない。装幀もすごくかっこいい本。
「古本屋さんで、なんかかっこいい本やから買っといてん。まだ読んでないけど」
と相方がいう。
「あ、稲垣足穂って好きやったっけ? 先読んでいいよ」
僕も相方も本好きだが、好きなジャンルが全部重なっているわけではない。というより共有部分は半分より少ないだろう(だから余計に家は本だらけになってしまうわけだが)。
でも、こういうスマッシュヒットがたまにある。
しかし逆に
「面白そうな本買ってきたよ」
「ありゃ、小谷野敦やん。『恋愛の昭和史』? げっ、これ僕も買ったで」
「嘘やぁ。もったいなぁ」
「小谷野敦、僕いっぱい読んでるやん。持ってるかもしれんて思わんかった?」
「あたしあんまり著者名とか見いへんもん」
こういう大雑把なところがちょっとあって、それはそれで面白い。
前にも紀田順一郎『東京の下層社会』(ちくま文庫)というシブい本を相方が買ってきたから、「紀田順一郎って、前も買ってたやん。好きやねんなぁ」と聞くと、
「誰それ」
「この人の『日本語大博物館』買ってたやん」
「書いた人の名前なんか覚えてない」
「・・・・」
著者名を覚える気がないくせに、同じ人の本を買ってくるというのは、結局なんらかの嗅覚のようなものが働いているということだ。
僕はこの相方の「嗅覚」がなんか好きである。
- 2009/06/26(金) 02:14:39|
- 読書狂
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ライムライト兒嶌さんよりデクトールの3.8リットル用が製造中止との知らせが。
あ、デクトールってのはコダックの白黒印画紙用現像液です。僕はデクトールじゃなくて、ほぼ同じ組成と言われているデナールP(エヌ・エヌ・シー)を使っていますが、だからまぁいいや、って話ではなくて、こうやってじわじわと外堀が埋まっていくんだなぁという嘆きです。
一見銀塩の問題じゃなさそうだけど、銀塩の未来に大きく関わるフジフイルムの話。
僕らが仕事で使っているデジタル出力機、フジ・ピクトログラフィー。光沢印画紙(といっても原理的にはポラロイドに近い)にデジタルデータを簡易に出力できるので、営業写真館では証明写真などに重宝してきた機械です。でもこれが先頃すでに生産をやめていて、ペーパーやドナーなどの消耗品も何年何月までです、みたいなアナウンスがされていたんだけど、先日いきなり「予告していた時日よりも3年消耗品生産中止を早める」という無茶な連絡がありました。
あと3年でピクトロ使えなくなってしまう。社長、証明写真どうしましょ?
昨今のインクジェットは解像力も保存性も素晴らしいけど、唯一擦過傷に弱い。証明写真って履歴書に貼って、けっこう乱暴な扱いを受けるわけだし、インクジェットでは不安が残る。ピクトロが使えなくなる3年後には、表面自動樹脂コーティング機能付きインクジェットが開発されてるって? グロス・オプティマイザの強化版みたいなやつが出てくるかなぁ。今さら昇華型もどうよ、って感じだし。
いやほんと、困るのです。どうします? 銀治さん。やっぱりクリスタリオ?
ピクトロの話は置いといて、要するにフジも相当苦しい、ってことです。先日5000人削減というニュースが流れて銀塩部門の行く末に大暗雲が立ちこめましたが、製造中止後何年間は部品保管や消耗品供給を続けなければならないというルールを破ってまで、というところに深刻さが伺えます。
冗談抜き、ほんとにフィルムと印画紙やばいよ、フジ。
・・・・・
いつのまにか蛇口を捻ったら適温の水が勝手に出てくる暗室にはうってつけの季節も終わり、気がつけばその間まったく暗室作業をしていなかったことに気づく。
フィルム現像すらここふた月くらいやってない。
完全にカラーモード。DNPのカラーネガばっかり使ってる。別に今この季節にカラー撮らなくても・・・とは思いつつ、今はもう完全に景色が色つきで見えるんだから仕方がない。
で、月末のラボからの請求にびっくり。そうだった。カラーって、お金もかかるんだった・・・。
・・・・・
ホンマタカシの『たのしい写真 よい子のための写真教室』(平凡社)を、どうせ買うんだから書店の本が傷まないうちに買っとくか、と。でも1600円なぁ、結構高いなぁ、とブツブツいいながら駅前のブックファーストに行くと、『美術手帖』(美術出版社)の7月号の背表紙が目にとまる。「アウトサイダー・アートの愛し方」。
同じ1600円、今日はこっちだ。ホンマさん、またね(笑)
帰りの電車の中、稲垣足穂を中断してこっちに夢中。武庫川の「すずかけ作業所」でよく観た舛次崇も紹介されてる。簡潔で良い特集です。
- 2009/06/25(木) 00:26:20|
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なんか、久しぶりに「開いてる」なぁ、っていう感触。
あ、別に宗教的な話ではありません。チャクラがどうとか、そういうんじゃなくて(笑)。言い換えたら、全然面白くないけど、「冴えてる」とか? (あ、全然面白くない上にちょっと違うな。)
なんか、どこかと通じてる感じ。けっこう自分自身を面白がらせることのできる写真が撮れてる、ってことです。
写真ってダイエットみたいなもんで、いくら頑張っても全然動かない時期があって、我慢が切れそうな限界で、ふっと「開」いたりする。
さてさて、いつまで続いてくれるだろうか。
・・・・・・
稲垣足穂を思い出したように読む。河出文庫の『弥勒』。
自分を引っ掻き回したいときにはいいかも。
ちょっとしんどいけど(笑)。
- 2009/06/20(土) 02:05:49|
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ライカのアイレットを修理した様子をアップせよという要望があったので、はい。この通り。
前から見たら↓

後ろから見たら↓

とまぁこんな感じです。
ハトメのようなものを前から入れて、後ろから出た部分をドライバーの先で潰して固定します。
削れすぎて隙間が出来ていたので、ボンドを補填してあります。
今のところ快調です。
- 2009/06/17(水) 00:54:40|
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というわけで分厚い「身も蓋もない」話を読み終えた。
トルエンでラリって暴走して喧嘩して事故ってオ○コして鑑別所やの入院やのシャブ中やのヤクザがどうしただのホストになって女食い物にしただのおかんがやばい男に貢いでえらい商売に手を出したの何のって、ええかげんにせぇやっ! て感じのテンションで600ページ読ませる筆力に感心するやら呆れるやら。
ははは。Yさん、面白かったわ。
(身近にこんな男おったら絶対に関わり合いになりたくないけど)
・・・・・
『ROCKIN'ON JAPAN』特別号「忌野清志郎 1951-2009」出た。
読みふける。
・・・・・
今度いっしょに二人展(9月6日-12日 ギャラリー・ライムライト/大阪・帝塚山)をする中村さんと、テーマについて、写真について、メールで意見交換している。
一見違う作風だけど、ものすごく共振する部分が多い。まぁ、だから一緒にやるわけですが。
あと3ヶ月。そろそろ煮詰めなきゃ。
- 2009/06/15(月) 00:22:16|
- 日々
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バカボンのパパより年上になりました。
42歳になった瞬間考えていたことは、今読んでいる吉永マサユキ『へたれ』の感想をヒトコトで言うならば、ほれ、アラレもない、じゃなくて、益体もない、じゃなくて、ほら、○○ない、っていう言葉、何やったっけなぁ〜ほらぁ! 42歳にもなると頭の奥の引き出しがカタくなってからに、畜生。
あ、そや
身も蓋もないや!
ということでした。
ああ、すっきりした。
- 2009/06/13(土) 00:57:59|
- 日々
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二十歳のとき、大阪・十三(じゅうそう)に住んでいた。
最初の一年は家賃節約のため弟と一緒に住んだ。弟は神戸・六甲、僕は大阪・池田の大学に通っていたので、真ん中をとって十三にしたのだが、一年後、僕は大学を辞めてしまった。一緒に住む意味もあまりないので、弟は神戸に越していき、僕も同じ十三で自分だけで払える安い部屋を探して移った。
そのときの手持ちの金でぎりぎり越せる安い物件だったから、びっくりするくらい造りの雑なアパートで、隣の部屋との壁は多分コンパネ1枚しかなく、隣人のイビキの声が聞こえる。テレビをつけなくても『朝まで生テレビ』の内容が全部わかった。隣人の電話の内容も全部わかるのだ。
あるとき、聞きたくもないのだが、隣人の筒抜けの電話の会話の中になぜか僕の知った名前が連続で出てくるので、まさか、と思って聞き耳を立ててみたら、なんと隣に住んでいるのは辞めた大学の同じ学部の同級生だった。
別に仲が悪いわけではなかったけれど、そんなには親しくもない男で、学内で出会えば声はかける程度の仲だったが、一応「お前やったんか」と挨拶には行ったものの、隣に住んで毎日そいつのイビキや屁の音まで聞いていたからお互いなんか気まずくなってしまい、以後もまったく交流はなかった。
そこに住んで9ヶ月後、ある日突然ヤクザがやってきて「100万やるから4月までにこの部屋を出て行け」と言う。世の中はバブル末期、いわゆる「地上げ屋」というやつである。カンテGのバイトだけで月に11〜12万円くらいで暮らしていた頃だから、もう一も二もなくOKした。
隣人とはもう半年以上喋ってなかったが、ヤクザが帰ったあと思わず隣を訪ね無言で握手をした。以後一度も会ったことないが、O島君元気かな。
なんだかんだ言っても十三のガチャガチャした雰囲気が好きだったので、次に越す部屋も近場で選んだ。地上げで追い出された部屋から歩いて7〜8分、駅で言うとJR塚本駅近くだが、まぁ十三の裏町である。
なんせ100万円あるから引っ越しも楽ちんだ。家賃も元の4万円から1.5倍ほど上がったが、金があるので気にならない。
まぁ、浅はかと言うか、100万円ポッチの金、しかも棚から落ちてきた金だから、いつまでもあるわけがないのである。今まで思いっきり貧乏な暮らしをしていたから(今の相方と会ったのも十三時代だが、最初の僕の印象は? と訪ねると「こんな貧乏な人はじめて見た」と。気に入った靴を履きすぎて靴底がダメになってしまい、それでも新しい靴を買う金がないから、底をガムテープで補修して履いていた。その靴を見たときの衝撃がわすれられないという 苦笑)、そんなやつが100万円も手にしたら、舞い上がってしまうに決まっている。
引っ越しで半分使って、それでも残り50万円あるはずなのに、その金が3ヶ月くらいでゼロになった。本屋でもCD屋でも10冊・10枚単位で買う癖がついてしまい、金がなくなってからもその癖が抜けず、気がつけばドえらい貧乏に逆戻りしていた。しかも家賃は前よりも上がっている。阿呆だった。
(それでも浪費の仕方が本やCDのドカ買い、というところが可愛いよね。なんておりこうさんなんだろう)
そんなこんなで、十三〜塚本あたりに5〜6年住んだ(そのあと尼崎に引っ越す)。
最初は薬局でプチシャワー(携帯ビデ)を大量買いしたり、そんな感じの店の前で「シャチョーサン、マタ来テネー」と片言でオッサンを見送るフィリピン人ぽい女性たちにいちいちびっくりしたが、そんなのはすぐに日常の光景になって慣れてしまった。
最初に弟と住んでいた木川東は十三と西中島南方の間くらいだったが、西中島南方といえば当時いわゆる「マントル」(マンション・トルコ。売春マンション)のメッカで、街じゅうに「西中島南方クリーン作戦! マントルを消せ!」という立て看板があったのには笑った。
最後に住んだ塚本は「表町」の十三と違って一見閑静な町なのだが、住んでる人たちはちっとも閑静ではない(笑)。
住んでた部屋から200mの場所でヤクザの発砲事件があって友人が心配して電話をかけてきたりもした。
その塚本のワンルームマンションでは二階に住んでいたのだが、僕の真上に住んでいた女子大生は悪い彼氏とつきあううちに水商売へと転向し(もれ聞こえる声で大体の事情は把握できるのである)、数ヶ月に一度男にフラれて号泣していた(それも毎回かならず一晩中)。
斜め上に住んでいたのもおそらく水商売の女性で、これもたちの悪い男がいるらしく、しょっちゅう大喧嘩の声が聞こえる。鉄の玄関扉に男の体をゴンゴンぶち当てて「帰ってよ! 帰ってよ!」と泣き叫ぶ声とか。うるさくて眠れない。
階下に途中から越してきた大柄な女性は、たぶん商売で、一日に何回も廊下中に響き渡る大声でセックスをする。あれだけ反響するのは、部屋に何も置いてなくてベッドしかないのかな、といろいろ想像がたくましくなった。最初のうちはそれなりに面白く聞いていたが、そのうちウンザリする。あれはえげつなかったなぁ。
とまぁ、なかなかにエキサイティングな街であった。
そういう記憶が、吉永マサユキ『へたれ』の最初の部分で全開に蘇った。
文中に出てくる「Yブス」の意味が、脚注を読まなくてもわかっちゃう(笑)。
そのYブス女子校の近くの喫茶店で、Yブスの生徒が同級生の写真ファイルを持って、その辺の調理師の兄ちゃんたちに「じゃあこのコは? お金じゃなくて、欲しい鞄があるって言ってたわ。まぁお金でも交渉したげるけど」なんて斡旋してるのを見たときはさすがに驚いた。
あの生徒は中間でいくら取ってたんだろうか。
書いてて気分悪くなってきた(苦笑)。
- 2009/06/09(火) 20:59:57|
- 日々
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古書店から続々と本が届く。
大岡昇平『レイテ戦記』全3巻単行本(中央公論社)が揃いで1500円、状態・普通、とあるので、安いやん、と注文してみたら、天部黴シミだらけ。紙ヤスリで磨いてみたが、けっこう根が深くてあまり綺麗にならない。もうあの店には注文しない。あの状態を「普通」と書いてはいかんだろう、宮崎市のK店。がうっ!(HPにも当店は中古ですが綺麗な品物ばかりです、なんてわざわざ書いてある。嘘つけっ!)
別の店から野呂邦暢『丘の火』(文藝春秋)。多分新品でそのまま売られたね。箱は変色しているが、中身はめちゃくちゃ綺麗。これで送料込み1300円? 素晴らしいぜ、青森県・時代屋。
広島県・府中書店からは吉永マサユキ『へたれ』(リトルモア)。
Yさんが面白いと言ってたので読みたかったのだが、定価2800円もするんだよこの本。それを送料含む1100円で入手。届いてみればほぼ新品。いや、絶対新品。ラッキー。
『へたれ』から読み始める。まだ1/3だけど、抱腹絶倒的に面白い。
大阪・十三で生まれ育ったヤンチャ坊やの自叙伝。十三は僕も5年くらい住んだので愛着わきまくり。あ、僕はこんなヤンチャな青春送ってませんけどね。
読み終わったら、また改めて感想を。
『へたれ』が太くてかさばる本なので、その日の荷物の多さによっては別の本を持ち出す。
忌野清志郎『瀕死の双六問屋』(小学館文庫)読了。
解説で角田光代が書いてるように、これは小説家には書けない文章だなぁ。他に似た文章家を思いつかない。いつのまにかまんまと術中に嵌められてる感じの引き込まれ方。
さらに忌野清志郎『サイクリング・ブルース』(小学館)読了。
面白いんだけどボリュームなさすぎ。買って、帰りの電車で全部読めてしまう本に1600円はキツい。1200円以下にしなさい、小学館。
あ、でも自転車乗りたくなってきたな。
ロバート・ホワイティング『ボブさんの誰にも書けないベースボール事件簿』(角川文庫)。もうすぐ読了。
まぁ、たまにはこんな本で骨休め。
- 2009/06/08(月) 23:49:53|
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野呂邦暢『戦争文学試論』(芙蓉書房出版)読了。
職業的文章家の手によるものではなく、太平洋戦争に従軍し、戦い、傷つき、仲間を失い、自らも飢えと恐怖に怯えながら生きのびた無名兵士たちが戦後草した有名無名の戦記数百冊を、野呂邦暢が収集し、読み、戦闘の行われた地域別に要旨を紹介して短い論評を加えるというスタイルの本。
思えば、太平洋戦争のことなんて、ほとんど知らないなぁ。
僕の父は満州で生まれ、6歳でそこで終戦を迎えている。なんだか遠い歴史の彼方の話に思えるけれど、たった、僕より1代だけ上の世代が経験している、実は最近といえば最近のことなのだった。
「理性の暗黒状態を一度でも経験したことのある元兵士は、それを文章にして追体験することで自己の理性を検証する。『崩壊的な力』にさからう唯一の方法である。なぜなら書くということは、明知の光なしでは不可能だからだ。あえていえばペンとインクでもってするもう一つの戦争である。」
「今次の大戦はこれら無数の名もない市民兵によって戦われたのであり、作家や知識人の兵士のなかに占める割合は微々たるものであったからである。農夫、漁師、会社員、教師、神官、炭屋、理髪師、船員、鉱夫、問屋、仕立屋、樵夫などありとあらゆる職業階層の兵士がいたのだ。(中略)これら無名の市民兵がものした戦争記録は、多くの不備欠点がみとめられるにもかかわらず、真実性という点では文学者の戦記といささかもひけをとるものではないということを明言しておきたい。」
かなり感動して読み終えたあと、どうしても読みたくなったのは、
水木しげる『総員玉砕せよ!』(講談社文庫)。
この漫画の単行本が出版されたのは1991年。野呂邦暢は1980年に亡くなっているから、残念ながら野呂邦暢は水木しげるのこの本を読めなかったのだ。
鬼太郎などの妖怪もの、昭和史シリーズ、自叙伝、神秘家シリーズ、南方熊楠の伝記等、水木しげるの名作は数あれど、僕はこの『総員玉砕せよ!』が、水木しげるの最高傑作じゃないかと思う。何度読んでも、ラストシーンは背骨が震える。
今日も立て続けに二回読んでしまった。
読んだことない人、ぜひ読んでください。講談社文庫、
今でも買えます、700円。
ほんと、傑作です。これは読むべきです。
もう一回書きます。これは読むべきです。
・・・・・・
あ、来年春からのNHK朝ドラは、水木しげるの奥さんが原作の『ゲゲゲの女房』らしい。原作本、ちょっと前に読んだけど、めちゃくちゃ面白かった。
水木しげる役、誰が演るんだろか。ちょっと楽しみ。
- 2009/06/06(土) 00:40:42|
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