OK,Darling. But What is Photograph?

だから写真って何なのよ/カマウチヒデキ

最近の読書から

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よしもとばなな『デッドエンドの想い出』

 吉本ばななは大昔デビュー作の『キッチン』に大感激し、次作の『うたかた/サンクチュアリ』でいきなり失望して読まなくなったという、両極端な印象を持っている。だから名作といわれる『TSUGUMI』も読まずじまいだ。
 で、今回、真ん中を飛ばして近作の『デッドエンドの想い出』を読んでみたんですが(著者が帯に自画自賛のようなコメントを書いているのが面白かったので)、たしかに、かなり良かったです。著者自賛の表題作もいいけど、他の短編も相当高レベル。「智ちゃんの幸せ」が一番好きかな。
 これは他のも読まなきゃいけないな。


野中ともそ『宇宙でいちばん明るい屋根』

 前回のブログに書いたので繰り返さないが、要するに「完成度は低いが、けっこう好き」ということ。どのジャンルのものでもそうだが、僕はこういうのって「アリ」だと思っている。
 この本を貶すことは簡単。たとえば主人公の父母なんかかなり書き込みが足りない感じで登場人物としての造形をなしていないし、一番魅力的に書かれるべき「星婆」ももっと磨ける。後半のキーマンとなる主人公の「元彼氏」が一番ひどいかな。重要な位置づけの登場人物のはずなのに、その薄っぺらなグレ方と存在感のなさはなんだ、と。
 しかし例えば誰かイキのいい若手監督がこれを映画化してくれたらどうだろう、とか。星バァはやっぱり夏木マリだろうか、なんて考えるとかなり楽しい。


工藤美代子『マルティニーク熱帯紀行』

 好きだ、ということと、その作品の完成度の高さ、ということは必ずしも同じではない、ということを学んだ(?)のは工藤美代子からである。
 この本、今までにもう10回は絶対に読んでいるはずなのだが、また読んでしまった。
 ラフカディオ・ハーンが来日前に2年間を過ごしたカリブ海の島・マルティニークを訪ねた工藤さんは、そこでのハーンの足跡を追うのだが、なんせ全編マルティニークの気候に対する悪罵と呪詛の繰り返し(笑) 熱いだの凄まじい湿気だのゴキブリが多すぎるだの、とにかく文句垂れ流し。お前、一体何しに行ったんだよ、って感じの本なのだ。
 しかし、何とも言えず、この工藤さんの駄目駄目ぶりが好きでね。つい何回も読んでしまう。


吾妻ひでお『失踪日記』

 漫画家として吾妻ひでおはまったく興味がなかったのだが、話題のこの本だけは読んでみようと思った。ひたすら軽~い絵がいいね。この絵でロリな女の子描かれても興味はないが、出てくるのは自分を含めた浮浪者やアル中だからこの絵でも許せる。
 前に中島らもの『今夜、すべてのバーで』を読んだときは、これからアル中で入院というときに、最後のワンカップをぐぐっとあおる場面のリアリティに心が凍ったものだが、吾妻ひでおはひたすら軽い。ポップな絵で自分が体験してきた地獄の輪郭のみをなぞって見せてくれる。
 しかし軽いだけに、何かのの間違いであんたも明日からこうなれるよ、という危うさもひしひし。
  1. 2006/07/30(日) 13:48:35|
  2. 読書狂
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What Goes on !

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「当時ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのレコードはほとんど売れなかったが、そのレコードを買った人たちは全員バンドを始めた」
 ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(VU)の残されたライブ音源を聴くと、技術的に決して上手くはないのに、その凄まじいテンションの高さと迫力に圧倒される。ほとんど素人といってもいいモーリン・タッカーのプリミティブなドラミングは神々しいまでの昇華を見せ、ルー・リードのリズムギターが奇跡の高揚を刻む。

 1969年Liveの「What goes on」、何度聴いても凄まじい演奏だと思う。もしこの曲を現場で聴けたなら、もう残りの人生どんなクソミソでも我慢できるだろう。
 少し後の、ダグ・ユール(g)とその弟ビリー・ユール(ds)が参加したルー・リード脱退直前のライヴがつまらないのは、メンバーの不協和音もさることながら、凡庸に達者なビリー・ユールのドラムのせいではではないか。
 「達者」な技術に魂は宿らない(モーリン・タッカーは「産休」だった)。

 このライヴを聴く度に、音楽にとってテクニックって何なのだ、と思ってしまう。ヴェルヴェッツに限らず、僕の心を撃つのはTVパーソナリティーズのダン・トレイシーもそうだが、とにかく「上手くない」ミュージシャンである。ダン・トレイシーにいたっては正直「下手くそ」と断言しても良い。あそこまで下手くそである必要があるのか、と思うほどの下手くそ。
 そんな下手くそな彼らが、それでも音楽をやるのはどうしてなのか。もちろん、彼らが聴かせたいのは「テクニック」なんかじゃない他のものだからだ。

 写真だってそう。テクニック的に上手い写真って、何なんだろう。フォトログやフリッカーはハイアマチュアの集まりだから、まぁ仕方ないんだけど・・・ハイアマチュアってのは「上手い」もんですからね(笑) でもそんな写真ばかり見せられたら、いいかげんげんなりするよ。あんたたちがそのテクニックを使って伝えたいものって、だから何なのさ、って。

 何もテクニックを全否定するわけじゃない。音楽だって、テクニックの化身のようなグレン・グールド好きだし。
 でもグールドはその凄まじいテクニックを突き抜けてその向こう側に行っていた。彼にとってテクニックはあくまで手段。これは当たり前の話ですが。
 
 やっぱり僕はヴェルヴェッツのような写真を撮りたいわけさ。切に。

・・・・・・・

 最近珍しく小説をよく読む。
 野中ともそ『宇宙でいちばん明るい屋根』(ポプラ社)。
 野中ともそは昔よく読んだ人。マルティニークの旅行記やニューヨークの雑貨店ルポみたいなエッセイが好きだったが、いつの間にか小説を書くようになり『パンの鳴る海、緋の舞う空』(集英社)ですばるの新人賞を受賞。でも面白くなかったな、小説は。
 そんな彼女が、最近は「ヤングアダルトの旗手」みたいな感じで売れているらしい。本屋で懐かしい名前だと思って買ったのがこの『宇宙でいちばん明るい屋根』。
 面白かった。上手いか下手かといわれれば、まだまだ「下手くそ」だと思う。写真や音楽ではテクニックが嫌いな僕ですが、さすがに文芸に関しては最低水準の「テクニック」は必要でしょう(保守的?)
 テク的にはつっこみどころ満載の、不器用な文章ながら、それでもとても面白かった。大島弓子が書きそうな話、しかもちょっと昔の大島弓子ね。
 そう、僕は大島弓子の大ファンなので、「面白かった」というこの野中ともそ評はあまり信用しないほうがいいかも(笑)
 大島弓子的なものは何でも「面白い」って言っちゃうからね。
 まぁ、他の野中ともそも読んでみよう。

・・・・・・

 今は何年ぶりかで吉本ばななを読んでいます。『デッドエンドの思い出』(文藝春秋)。作家本人が自画自賛するだけあって、かなり面白い。いや、相当面白い。まだ半分しか読んでないけど。
  1. 2006/07/21(金) 23:40:02|
  2. 音楽
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杉本安希/蜷川実花

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大阪・北堀江ART HOUSEにて友人のイラストレーター杉本安希さんの作品展。ドローイングも良いけれど、僕は彼女の版画が大好きなのです。今回は1階の壁面がmacの作品、2階が版画。質量ともに満喫です。
18日火曜日までの予定が好評につき1週間延長。みなさんもぜひ。おすすめです。
杉本安希HPhttp://aki-sugimoto.com/a/

・・・・・・

蜷川実花『ラッキースターの探し方』(DAI-X出版)読む。
前に草間弥生展に行ったとき、ミュージアムショップで美術通らしきオッサンが連れの人に蜷川実花の話をしており、蜷川実花が父親そっくりの顔でブサイクで哀れだ、だの何だの話をしているのを聞いて腹が立った。顔で写真撮るのかバカヤロー。ていうか僕はどっちかというと蜷川実花の顔好きだぞ、と心の中で蜷川実花の弁護をしていた。
また別の日にジュンク堂で写真学生らしい男二人が蜷川実花の写真集を見ながら「こいつさぁ、自分でプリントしてないらしいで。プリントするやつが凄いだけやんなぁ」などと話しているのを聞き、「じゃあお前らあんな写真撮れるのか、おい。撮ってみろよボケ!」と心の中で毒づいた。

で、はて、どうして僕は蜷川実花の悪口を言われるとこんなに腹が立つのか。そんなに蜷川実花のファンだったっけ?
写真集は最初の2冊と、『プリンツ21』の特集を持っているけど、新しいのが出たからと行って全部買う~、というほどの熱の入れようでもない。・・・つもりだったが、どうやらかなりファンみたい(笑)

で、この本。いままでの生い立ちや写真を始めてからのこと、最近の仕事ぶりまでを、問われるままに語った感じの「聞き書き本」という感じ。
僕、本当はここまで前向きでパワフルでまっすぐな人って、あまり好きじゃないんだけどな。でも、なんかこの人は面白い。
写真も、凄いと思う。彼女の色合いだけを真似たような写真は氾濫してるけど、色だけ真似たってあの世界観やクオリティには誰も到達できない。

「私、写真の神様に愛されてると思うんですよ」
わかるなぁ。僕でさえそう思える瞬間ってあるもの。自分の意図よりもずっと凄いものが撮れてしまったりすることってあるし、そんなときは僕も本当に「写真の神様ありがとう」って思う。その神様のおかげで僕も写真を続けてられるんだと、本当に思うんです。
あ、何も僕が「蜷川実花と同じ」なんて傲慢なこと、言ってませんよ(笑)

ちなみに2月に静岡プッシュピン・ギャラリーで展示してもらったとき、蜷川実花の作品も1点、一緒に展示されていて、値段は僕の写真の10倍でした。10倍・・・って、考えたら凄いよね。蜷川実花の1/10。1/10も値段つけてくれてたんですよ、プッシュピン・ギャラリーさん。しかも1点売れたし。
1/10ニナガワ。凄いことです。買ってくれた方に感謝。
  1. 2006/07/17(月) 01:38:12|
  2. 日々
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OSAKASEVEN 公式HP

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[OSAKASEVEN]
10/15(日)-22(日)大阪・南森町「アートギャラリー・フジハラ」
カルロス・ノボル/カマウチヒデキ/小檜山貴裕/伊藤公一(co1)/小西真美子(clarice)/楠山哲也(Blues)/大島利浩(tommy)

公式HPできました。
http://www.slash-design.com/osakaseven/

なぜか日曜日から日曜日までという、変則日程です。こんな無理な日程を快く了承してくださったフジハラビルの藤原さんに感謝。
改めて、すごいメンバー揃ったな、という感じです。僕自身楽しみで仕方がない。
撮影も着々進めてますよ。
渋谷『7』の出品作とも、ナダール・ポートレート展のときの感じとも、全然違う感じで出すつもりですので、乞うご期待。
  1. 2006/07/16(日) 08:18:52|
  2. 展示
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下手の横好き

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中島らもの『あの娘は石ころ』(双葉文庫)を読む。
らもさんの楽器エッセイ。彼はいろんな楽器を収集するのが趣味だった。

かくいう僕も、実は楽器収集家である。収集家、というほどのものでもないか。
でも弦楽器を中心に、いろんな楽器が家に転がっている。

はじめて自分で買った楽器は陶器のオカリナで、小学校高学年だったと思う。普通のCキーのものと、音の低いFキーのもの、小遣いをためて二つ買っているあたりが、すでにマニアの兆しである。
今でもこの二つのオカリナはちゃんとある。ストラップ代わりに母親にもらった緑色の毛糸が結んであるのが我ながらほほえましい。

はじめて買った弦楽器は、ギターではなく三線。那覇の平和堂という店で4万円で買った。
沖縄が大好きで毎年のように通い、音楽もハマりまくって何十枚も沖縄民謡のCDを買っていたのだけれど、「自分の三線が欲しい」という欲求をかなえるまでには、思い立ってから数年を要した。
音楽の島沖縄で、戦争でどえらいめに遭いながら、捕虜収容所でも米軍のパラシュートの紐で三線を作って歌っていたという、そういう人々の楽器である。僕はというと、そんな沖縄を捨て石にしてひどい目に遭わせた日本という国の住人、という妙な罪悪感が抜けず、欲しいと思いながらも、どうしても思い切れなかった。
が、数年後、どうしても我慢できずに買い、夢中になって練習した。
購入後2年ほどして、気候が合わなかったのか、胴皮が破れてしまったが、買った平和堂に持ち込んで、より丈夫な皮を張り直してもらった。4万円なのでそんなにいいランクの楽器ではないんだろうけど、もう7~8年弾いてるし、手にも耳にも馴染んで、僕の宝物のひとつです。
腕前? ははは。たいしたことない(笑)
でも「恋ぬ花」とか「肝にかかてぃ」とか「仲里節」なんかを、たまに下手くそに唸っております。

その後ギター3本、バンジョー2本、ウクレレ3本、マンドリンに二胡に馬頭琴が各1。もう立派なコレクターだって?
なんかね、好きなんですよ、楽器。
毎年年末は仕事がベラボーに忙しく、11月、12月は毎日職場に夜中の11時くらいまで残ってヒーヒー言いながら働いてるんですが、毎年その時期になると、なにか自分に褒美をあげたくなる(笑)
で、ある時期、毎年、年の終わりに1本、必ず楽器を買ってたんです。
アコースティック・ギターは、最初クロサワのギグパッカーというボディの細い小型ギターで練習してたんですが、自分が下手くそなのを楽器のせいにして「これはミニギターだから弾きにくいのだ。やはり最初からちゃんとした楽器で練習しないと」と言い訳たらたらで、タカミネのエレガットを買った。たしか10万円くらいしたはず。
10万円の楽器を買ったらさすがに死ぬ気で練習するだろうって?
死ぬ気とは言わぬまでも、まぁ、けっこう頑張って練習しましたよ。夜中に楽器かきならしてマンションの下の階のオッサンと喧嘩になったこともありました。
でも、正直、全然上手くないです(笑)
ま、趣味ですから、趣味。

その翌年買ったVGのアコギは、当時山崎まさよしがVGを使っていたので、という、結構ミーハーな理由で。おいおい。渡辺香津美も弾いてたし。
でもこのVG、下手くそが楽器の良し悪しを語るのもどうかと思うが、楽器として美しいし、音もすごく気にいってます。

バンジョー2本、ってのが笑えるでしょう?
1本はちゃんとした5弦バンジョーで、多分今はもうない「カスガ」という日本のメーカーが作っています。古道具屋で1万円。ちゃんと鳴るし、立派な楽器です。
でも、バンジョーの弦って、ギターの高音弦よりもずっと細くて、本当に指切れそうになるんですよ。痛くて痛くて・・・根性なしの僕は早々に断念してしまいました。
もう1本は、4弦のバンジョーなんですが、なんかええかげんな作りの、味な楽器です。フレットも雑なのでちゃんと音階出てないような気がするし。なんかおもちゃくさい。
で、こっちの方はバンジョーの弦を外して三味線の弦を張り、「フレット付き三味線」として遊んでいます。

マンドリンも北野だか東寺だかの市で買いました。
これはもう、思いっきり不良品(泣)8000円くらい出したのに・・・
フレットがいい加減でちゃんとオクターブガ出ない。1フレットにカポをはめれば、かろうじて演奏可。
でも最近はケースから出してもいないな・・・。

馬頭琴は弟のモンゴルみやげ。美しい楽器ですが、チューニングの仕方もわからない。誰か教則本とか知りませんか。小泉楽器にもなかったよ・・・

二胡は・・・鳴らない(泣)
東寺の市で2000円。まぁね、いい楽器じゃないのは、たぶんそうなんでしょうが。松ヤニの塗り方が下手くそなのかな。どうやって塗るの?

ウクレレはFamousのちゃんとしたやつが1本。これはさすがにちゃんと弾けます。ボディに彫刻刀でペンギンを彫ってアクリル絵の具で色を付けた、カマウチ・ペンギンスペシャル。
あと一本は2000円くらいで買ったおもちゃ。ボディが割れてしまって(接着剤が剥がれた)弾けません。
もう1本は「自分で作るウクレレキット」で自作したもの。生成と焦茶のツートンに塗り分けたカラーリングは我ながら美しいと思うが、所詮自作、ちゃんとオクターブが出ない(悲)
楽器製作の難しさを体験できただけで良い経験でしたが。

KORGの電子ピアノもあります。8万円。グールドの「ゴルトベルク・アリア」をそっくりに弾きたい、という、それだけの欲求で買いました。ニューマミヤ6にレンズ3本のセットを売って資金を作った(マミヤセットを手放したことは、その後激しく後悔・・・)
一生懸命練習して、アリアだけは弾けるようになりましたが、その後の発展はなし。あ、平均率クラヴィアの1番も弾ける(笑)
ピアニカも37鍵の「プロ用」と低音特化の「バス・ピアニカ」を所有。すごい?

言い訳するようですが、趣味ですから、趣味。腕前とか、そういうことは問わないでね。
なんかね、楽器って買うときにすごいハッピーになれるんですよ。もちろん練習して何か弾けるようになったときはもっと嬉しいですけどね。

最近数年、楽器買ってません。弾く回数も減った・・・
何故かというと、今は写真に夢中だからです。数年前まではそんなに写真に没入できてなかったんですよ。
だからまぁ、楽器ほったらかしですけど、理由が理由ですから、いいでしょう。
また弾きたくなったら弾きます。
趣味ですからね、あくまで。
  1. 2006/07/10(月) 23:38:02|
  2. 音楽
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南海 ホークス

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僕が18歳の頃、せっかく入った大学がどうにも水が合わず、当時奈良に住んでいて豊中まで通っていたのだけれど、いつも途中の難波で途中下車して大学をサボっていた。
ミナミの繁華街をうろついて・・・といっても金もないから何ができるわけでもなく、ただボ~ッと徘徊するだけ。

当時難波にあった大阪球場を本拠にしていた南海ホークスは10年以上5位と6位を行ったり来たりするような、今で言うなら楽天より弱いんじゃないかと思うような、そんな球団だった。
観客席も寒々。いつも何百人しか入っていない(一番ひどいときは120人だった。実際に数えてみた)。観客席で大きな声を出せば向かい側のスタンドから山びこが帰ってくるくらい。これは冗談ではなく本当の話。
当時、香川や門田がホームランを打つと、静寂をつんざくその打球音にホレボレしたものだ。世界一打球音の美しい球場、それが大阪球場。客が入ってない球場のエコーって、本当にすごいんだぜ(笑)

金もなく、大学も面白くなく、かといってバイトに精を出すわけでもなく、本当に無為な生活をしていたその頃、8時すぎに大阪球場へ行くと、外野席の入場口から切符切りのおばちゃんがいなくなる。つまり入場無料(笑)いつもゲームの終盤だけ見て帰った。年間30~40試合見てたなぁ。

ピッチャー山内孝、山内和、西川、などなど。いつもボコボコに打たれていた。キャッチャー吉田、たまにドカベン香川。香川が塁に出ると味方の応援団から「自転車貸したれ~」とヤジが飛んだ。
内野デイヴィッド、小川、森脇、河埜、定岡、湯上谷など。河埜が好きだったな。元巨人の河埜の弟。飄々とした名手。球場の外で見たことあるれど、服装ほぼヤクザ。人は良さそうだったけど、服の趣味が・・・。
外野、山村、山口祐、佐々木、山本和、高柳、グッドウィンなど。ドラさんこと山本和、足は異様に速いが打てないので一番に定着できない山口祐。この二人がお気に入り。
代打でよく登場した山村は、打席に立つと必ず味方から「たまには働けヤーマムラ!」コールが。で、やっぱり働かないのだが。

ベンチ前で水を撒いていたり、ブルペンの整地をしたり、いつもベンチにいるのに滅多に試合に出ず、ピッチャーでもないのに先発のアテウマに使われたりする(本当の話)、控えのキャッチャー岩木。
珍しく彼が打席に立ち(年に10回もない)、しかもおそらく現役通じて初のホームランを打った試合をこの目で見たのが僕の自慢。誰に自慢してるんだ、おい。

その後南海ホークスは身売りされて福岡ダイエーホークスとなり、大阪球場も住宅展示場(観客席はそのままに、グランドに家が建ってた!)を経て「なんばパークス」に。
僕はといえばその間、結局大学を辞め、アルバイトで生活をし、劇団活動をし、その劇団が解散し、途方に暮れ、ペンギンにハマり、写真を覚え、写真屋に勤め・・・・今に至るわけですが。

なんでこんな話を書くかというと、ホークスの王監督が休養して、監督代理になった森脇コーチ。20年ぶりに彼の顔をテレビで見たからです。
当時のホークスは超弱小球団で勝てないし人気もなかったのですが、なんか「無駄に男前」な選手が多かったんですね。この森脇しかり、代打・高柳しかり。佐賀の韋駄天こと山口祐二、巨人・定岡の兄も男前だった。でも、こんな球団で男前でいても無意味だろ、みたいな(笑)

森脇コーチ、さすがに年を食いましたが、往年の「古くさい男前」は健在でした。懐かしい。まだホークスでコーチやってるとは。知らなかったー。

大学を辞めたり劇団が解散したり、なんだか鬱々とした時代のことが、テレビに写った森脇コーチの顔を見た途端に溢れるように思い出されました。
  1. 2006/07/08(土) 23:57:21|
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プリント

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「OSAKASEVEN」のために、展示候補の写真を選びはじめた。今まで撮った中で未発表のものを2点、大きくプリントしてみた。まだまだ撮影はこれからだけど、この2枚のプリントをじっくり見て、このプリントを起点にして次の撮影をじっくり考えようと思う。

僕は公の場でプリントを展示した経験はまだ3回しかなく、普段はwebで写真を見せることが活動の中心だけれども、やっぱり写真の基本はプリントだと思う。
同じ写真でもモニターで見るのとは違って、物理的な物体になったものはやはり感じ方が変わる。部屋の光質によって色が変わったり、見る距離によって印象が変わったり。

その写真が求める大きさというのもある。何でも大きければ良くなるわけじゃないし、でもやっぱり大きくしたらぐんと生きてくるものもあるし。それを探りながらプリントをするのも楽しい。
これからも気に入った写真はHDの中に入れるばかりじゃなく、どんどんプリントしよう。

  1. 2006/07/08(土) 01:32:20|
  2. 写真
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倫子新刊/トーベ・ヤンソンの『アリス』

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仕事帰りにヨドバシへ。
フィルムや銀塩用品のコーナーがどんどん縮小されて哀れだ。なんか売り場を歩いてても全然楽しくない。現像液だけ買ってすぐに出る。

紀伊国屋で川内倫子の新刊(『りんこ日記』フォイル)を買う。webの時から読んでたので中身は全部知ってるんだが。

トーベ・ヤンソンが挿画を描いた『不思議の国のアリス』(村山由佳訳)が欲しくて探したが、さすが紀伊国屋、傷んだ本しかなかった。今度ジュンク堂で買おう。

池田晶子『人生のほんとう』(トランスビュー)読了。
生命論とか自己とは何かといった哲学のようなものは自分なりに持っていたけれど、少なからず修正を迫られる部分もあってかなり刺激的でした。『14歳からの哲学』よりもわかりやすくて良かった。
  1. 2006/07/04(火) 23:51:59|
  2. 読書狂
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蕎麦屋の作法

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外の仕事が昼からだったので、久々に半休とることにして、家から職場までだらだら歩いた(約10キロ)。
阪神尼崎まで南下してそこから基本的に線路沿いに、たまに一本入ったり戻ったり。武庫川を越えたところの「すずかけ作業所」の喫茶でコーヒー飲んで、また甲子園まで歩いて「そじ坊」で蕎麦を食ういつものコース。そのあとまただらだら歩いて3時間かけて職場へ。曇天とはいえ汗だく。Tシャツ塩噴いてる(笑)
消費フィルム、コダックE100VSを2本。

そじ坊の蕎麦は、別にとりたてて美味いというわけでもないけれど、ざる蕎麦を頼むと生の山葵が一茎丸まま付いてくるのが嬉しい。それをしこたま擂って蕎麦に塗りつけて食う。奈良の某蕎麦屋で習った食べ方。中尾彬もTVで言ってたな(笑)
蕎麦好きの人はつゆを下1/3にしか浸けないだとか、音をたててすするのが良いだとか、なんか変な流儀みたいなのがあって、昔はそういうのは嫌いだと思っていたけれど、近頃ようやくその意味がわかった。
つゆを下1/3に浸けて一気に音をたててすすると、蕎麦とつゆと一緒に空気が口の中に入り込む。その空気がつゆとからまって、蕎麦とつゆの香りが鼻に抜けるんですね。つゆびたでゆっくりすするより、たしかに美味いのです。
で、蕎麦に山葵を塗りつけてるもんだから、山葵の辛みも香りも、鼻を直撃するわけです。涙と汗をこらえながら、蕎麦とつゆと山葵の香りを楽しむ。最高です。

蕎麦といえば、昔パフィーの番組に出てた某男タレント(この人、大嫌いなのです)が、大の蕎麦好きだというので、スタジオに有名蕎麦屋のざる蕎麦を用意して(職人がスタジオで調理してくれた出来たて)パフィーと3人で食ってたんですが、この某タレント、蕎麦好きを自称する割には、ものすごく食べ方が格好悪い。そのくせ、「3秒で蕎麦の味が死んでいくのがわかるよ」なんて知ったようなことを語ってる(苦笑)。それをフンフンうなずきながら横で食ってるパフィーの二人、めちゃくちゃ蕎麦の食べ方が格好いい(大笑)。
あれは格好悪かったよ、河村隆一君。あ、言っちゃった(笑)。絶対パフィーの方が食べ慣れてるもんな。
  1. 2006/07/03(月) 16:53:24|
  2. 日々
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