OK,Darling. But What is Photograph?

だから写真って何なのよ/カマウチヒデキ

双津竜の太股と尻

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脳味噌というのは、よく使う知識には太い回路が通じていて、あまり使わない知識はどんどん回路が細くなっていくらしい。
でも細いながらも回路自体はなくならないので、ごくつまらない、アホみたいな昔の知識も脳の隅っこに残っているようだ。

僕も40歳を越えて記憶力がかなり危うくなってきたのでハードディスクの中身を整理するように脳の内容も整理整頓したいものなのだが、さすがにゴミ箱へドラッグ、なんてわけにもいかない。
年を食って記憶力が減退するのは、やっぱり脳内ハードディスクの容量と関係があるらしく、要するに飽和寸前ということなのだろう。少ない残容量に無理矢理分断して知識を入れるから、最近の知識ほど忘れやすく、アホな昔の知識は忘れない。

時津風部屋の虐待死事件の記事を読んでいて、今の時津風親方が昔の双津竜だと知った途端、眼前に巨大で汚い太股と尻が広がった。僕が小学生の頃に現役だった力士である。でかくてブサイクで、太股と尻が汚かった。

「双津竜 = 太股と尻が汚いでかくてブサイクな力士」
こんな些末な記憶が、三十年間まったく使いもしなかったのに僕の脳の隅に残っていたのである。まったく脳内ハードディスクの無駄遣いである。昨日食った晩飯も思い出せなくなることがあるのは、この双津竜の尻のせいかもしれないのだ!

しかし、その双津竜の汚い太股と尻を唐突に思い出してしまったとき、なんだかちょっと愉快だったことは正直に白状しなければなるまいが。

・・・・・・

藤原新也がブログで「人が死ぬというのは100テラのハードディスクが一瞬にして無になることだ」と書いていた。こればっかりはどんなファイルサーバーでもバックアップできない。
だからせめてその場その場の痕跡を残したい。写真を撮るとかブログに駄文を書くとかは、そういう悪あがきの一部なのだ。無理矢理理屈をつけるならば。

まぁ、双津竜の太股の話にその価値があるかどうかは別として、だが。

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夜、ギャラリーmaggotに寄る。寺田正春写真展『ニライカナイ1』開催中。
ああああ。もう数年沖縄に行ってない。猛烈に行きたくなって来た。
大木さんの書棚にアラーキーの『遠野小説』(風雅書房)発見。例の、発売直後に回収された藤田朋子の写真集だ。中身を見るのは初めて。
う~ん、藤田朋子、アホだ。ものすごくいい写真集なのに! ちょっと予想外に良かったのでびっくり。あれの回収騒ぎなんか起こすからいまだに『渡る世間』しか仕事ないんだよ。アホやなぁ。
みなさんmaggotに行ったら藤田朋子、見せてもらってください。さすがアラーキーです。

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大岡昇平『成城だより』(上下2冊 講談社文芸文庫)購入。
しかし講談社文芸文庫って、なんでこんなに高いんだ? たかだか400ページぽっちの文庫が1冊1500円もする。上下2冊で3000円って、文庫の値段じゃないよ。
田川建三の未読『思想の危険について 吉本隆明のたどった軌跡』(インパクト出版会 3150円)も買おうと思ってたのに、合計したら6000円を越えるのでビビって今日はやめ。最近金銭に関して小心者(笑)






  1. 2007/09/28(金) 20:37:59|
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またまた出血の話

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朝起きたら左手の中指と人差し指の先に血が付いていた。
切ってしまった指からまた出血したのか???
いや待て、こないだ包丁で切ってしまったのは親指だ。落ち着け。まだ寝呆けてるのか。

指から出血しているのではなかった。指の血は拭いたらとれた。どこか出血している場所を寝ている間に触ったのだ。

よく見ると枕にも直径1cmの血痕が。
「・・・・・」
鼻血? 鼻を触ってみる。血はつかない。鼻の穴に指を入れてみる。違うみたいだ。
じゃあどこなんだ? この血は何だ?

ベッドから起きあがって、着ていたものを脱ぐ。どこも怪我はしていない。素裸になって点検する。どこも血なんかついていない。
自分で見ることが出来ないところから出ている、ということは、顔から上なわけである。鼻血ではない、とすれば、そうか、耳か!

左耳に恐る恐る指を入れてみる。乾いて粉になった血が指先についてきた。

「耳から血が出ている!」

あああ、字で書くだけで恐ろしい。

高校生の頃、住んでいた堺市で、ほんの目の前で交通事故を目撃したことがある。軽トラと二人乗りの原チャリが交差点で激突し、運転していた僕と同年代くらいの男の子が吹っ飛んで路上に大の字にひっくり返った。ピクリとも動かず、口から血のカタマリを吐き、耳から細く血が流れていた。多分、死んだのだと思う。

耳から血、といえば、その光景をまざまざと思い出すのだ。

とにかく、アルコールで耳の中を消毒する。ピリリと痛むので外傷性だとは思うものの、不安になってGoogleで検索する。「耳 出血」。
下顎打撲による外耳道前壁の骨折、側頭骨骨折、もしくは外耳の外傷。
それくらいしか出てこない。側頭骨を骨折している気配もなく(してたら怖いって)下顎を痛打した記憶もないので、まぁ、外傷だろう。外傷でないと困る。

しかし、枕カバーを2枚浸透して枕本体に到達するくらいの血痕だよ。どれだけ出たんだ一体。

気になるものの、あえて気にせず仕事に出る。
仕事をしながらも気になってしかたがない。耳の穴がむずむずするのでそっと触ってみたら、剥がれたカサブタ状の血がコロンと出てきた。剥がれるときにまた傷が出来たのか、ピリピリ痛み出した。
・・・やっぱり耳鼻科行こ。

結果は別に大したことはなくて、「はぁ、なんか知らんけど炎症起こしてるねぇ。血はもう止まってるから消毒だけしとくね」と、1時間待たされて診察は3分ですんだ。
寝ているあいだに耳に指突っ込んで引っ掻きまくったのか? 昨日の晩耳掃除したような気もするが、その時に知らず知らず、耳かきで傷をつけてしまったのか? 
ともあれただの外傷とわかって一安心。まだ気持ち悪いけど。

・・・・・・

あまり関係ない話で締めようと思う。
某インド料理屋(例のカンテではないところ)で一緒に働いていたネパール人のM君が、中休みに客席で昼寝していた(その店はランチ終了から夕方までいったん店を閉める)。
僕はその日は夜からの仕事だったので夕方店に行くと、M君が泣きそうな顔で
「カマさん、耳、耳、ウルサイデス! 耳、ウルサイデス!」
「耳うるさい? 何言ってんの?」
懐中電灯を当ててM君の耳を覗いてみると、昆虫の足のようなものが見える。
うわー。これって、多分アレだろうな。
道の向いに薬局があったので耳かきを買ってきて本人にホジらせてみると、出てきた出てきた。ゴキブリのバラバラ死体が!
哀れチャバネゴキブリはM君の耳の中で、耳かきによって惨殺されたのである。

ていうか、ゴキブリが侵入したくなる耳の穴って、どれだけ汚いんだよ。耳掃除しろよM君。
まぁ、昼寝してるスタッフの耳にゴキブリが侵入するレストラン自体が問題、という話でもありますがね。ええ。




  1. 2007/09/26(水) 20:26:35|
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町猫DM

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ギャラリーmaggotの『町猫』に出品する写真をプリントするために半切用のバットを買ってきた。そういえば僕は今まで四切までしかプリントしたことがないんだった。
しかし高いなぁ・・・3つで1万円以上したよ。痛たたた。

半切用のバット、で、でかい。狭すぎて停止液の分が置けないので省略するとして、それでも現像・定着・水洗用に3枚並べたら、狭い暗室いっぱいいっぱい。
動きにくいなぁ。配置の改良が必要。

まだ僕は受け取ってないんですが、『町猫』のDMが出来たようです。
メンバー確定してないのにDM作っちゃっていいの? まごさん(笑

日程近くなったらお送りしますので、DMご希望の方はお知らせ下さい。


  1. 2007/09/25(火) 12:32:43|
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大岡昇平と『将門記』

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今回は非常にオタッキーな内容の個人的覚え書きにつき、読んで頂かなくてけっこうです。よほどの物好きの方のみ、どうぞ(笑)

[大岡昇平と『将門記』]の続きを読む
  1. 2007/09/24(月) 23:57:08|
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痛い話

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昨晩包丁で手を切った。左手親指の先。爪がすぱっと直線に落ち、落ちた爪に直径4~5mmの皮と、若干の「肉」が付いていた。

最近この包丁切れにくくなったなぁ、とは思っていたのだけれど。
切りにくいから、知らず、力が入る。昨日はそうやって葱を刻んでいたのだが、根っこの方から順に刻んで、先っちょの方、あまり新しい葱ではなかったので多少綺麗ではないのが数本混じっており、どこで刻むのをやめるか悩んでいるうちにやってしまった。

大して血は出なかったが、夜中になってジンジン痛み出した。むむ、指先だけに。うむむむむ。

昔は飲食店勤務だったので、よくこうした怪我はしていた。ヒビの入ったグラスを気づかずに洗っていて拳で押し割ってしまい、5針縫ったこともある(今でも右手小指に「5針」の縫い跡が見える)。
馬鹿な怪我としてはこんなのもある。友人と自分のアパートで飲んでいて、アテがなくなったので「何か作ったるわ」と酔っぱらっているくせに包丁を使い、魚を下ろすついでに自分の左手の平もざっくりやってしまった。阿呆である。
このとき学んだこと・・・酔っているとなかなか血が止まらない!
みなさん、酔っぱらって包丁持っちゃ駄目ですよ。経験者は語る。この時は3針だった。

某インド料理屋(カンテGとは別の)で働いていた時には、本当にその店の包丁は切れなくて、インド人の店長に「砥石を買ってくれ」と頼んでも「包丁、アマリ切レタラ危ナイヨ」なんて言われて買ってもらえなかった。違うよ、切れない包丁の方が危ないんだよ、と力説してもわかってもらえない。
で、仕込みで大量のタマネギを刻んでいるときに、やってしまった。左手人差し指の第二関節のところの外側の皮が、これも若干の肉と一緒に直径7~8mmの円形に切れ、皮一枚で繋がっていた。
そのとき「あ~あ」と思いながら、何を思ったのか、その肉付き皮を、自分で噛みちぎって、さらに何を思ったのか、食ってみた。肉は何の味もしなかったが、皮はけっこう固くて噛み切れなかったのでそのまま飲んだ。
見ていたインド人のコックさんが「アアア、カマチャン、自分ノ肉食ベタヨ!」とびっくりしたので、僕もびっくりした。
そうだよ、何で食ったんだろう。うろたえていたんだろうか。自分の行動が意味不明。

花博でパレードのぬいぐるみの仕事をしていた頃、休憩時間中にバックヤードの鉄柱で頭をぶつけ(電球が切れていて真っ暗だったのだ)、出血したが、パレードの時間が迫っていたので、頭にタオルを巻いてそのままダチョウのぬいぐるみに入ってパレードをこなした。
帰ってきてぬいぐるみを脱いだら、周りの人間が悲鳴を挙げた。頭に巻いたタオルが血で真っ赤になっていたのだ。
「早く医者行って来い!」
パレードの進行スタッフが大慌てで叫んだ。
救急の医者に行ったら
「なんでこんな怪我したんや」
「鉄柱でぶつけたんです」
「嘘つけ、喧嘩やろ」
「違いますよ、バックヤードの電球切れてて、暗くて、気がつかなくて・・・」
「鉄パイプで殴り合いしたんと違うか」
「違いますって」
そんなことより、早く頭縫ってくれよ!
経験者は語る。頭の肉は薄いので、麻酔も、縫うのも、とっても痛い。

昨日、包丁で怪我をするその直前まで、大岡昇平の『俘虜記』(新潮文庫)を読んでいた。
ちょうど俘虜収容所に、手の平を銃弾に貫通された兵士が運ばれてきたところだった。
迫撃砲にやられて体がふっ飛んだとか、手足がモゲたとか、そういう派手な話ではなくて、手の平を貫通された兵士が「ああ、もう職人の仕事に戻れないなぁ」と不運を嘆くリアルなシーンである。

指先をちょっと削いだくらいでこんなに痛く、不便なのである。手の神経を損なうほどの銃創を受けたら、どんなだろうか。
などと考えながら今朝の通勤電車でも『俘虜記』を読んでいたのだが、そういう描写を読むたび、ページをめくる指が痛んだ。

早く治らないかなぁ。


  1. 2007/09/18(火) 16:41:37|
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tumblr. 開設

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http://kamauchi.tumblr.com/

新しく開設しました。今までの写真や文章の自選集というか、おいしいところ置き場というか、そんな感じにしようと思います。
たまに覗きに来て下さい。

  1. 2007/09/16(日) 01:50:17|
  2. 写真
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過剰に美しい生物学/他

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福岡伸一『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)を読む。
内容は分子生物学の最先端研究だから、理数系がまったく駄目な僕には正直(かなり噛み砕いて書いてくれているものの)半分以上わからないのだが、この本を読んでまず目につくのは、その内容よりも、過剰に流麗な文体にある。
美しい文章、と言っていいと思う。ただ、こんな文章を、たとえば現役の小説家が書いたら「大袈裟だ」とか「古くさい」とか言われそうなたぐいの「美しい文章」だ。宮本輝とかを想像していただければ近い感じ。著者は多分わざとやってるんじゃないかと思う。

その「過剰に美しい文章」が、全体にわたって、そして要所要所のピンポイントででも、何とも絶妙な効果を挙げてくる。そしてその「過剰な美しさ」は語られるタンパク質やアミノ酸のふるまいの美しさと見事にシンクロし、「半分以上わからない」僕にでも最後まで心地よく読み通させてしまう。
これはすごい本かもしれない。過剰に美しい分子生物学。ブラボーである。

・・・・・・

田川建三『キリスト教思想への招待』(勁草書房)購入。
田川建三は昔、僕が高校生の頃没頭して読んだ人。三一書房から出ていた『イエスという男』(現在は改訂版が作品社から刊行中)は、もう5回以上通読している。名著中の名著だと思う。
評論集の『立ちつくす思想』(勁草書房)や『宗教とは何か』(大和書房)も読み倒してボロボロだ。
それほど没入した田川建三なのに、久しく忘れていたなぁ。新刊のチェックをしていなかった。先だって斎藤美奈子を読んでいたらこの本のことが誉められていて、十数年ぶりに思い出した。
現在4章中、第1章まで読了。『イエスという男』では批判的に語られていたキリスト教を「それでもキリスト教はキリスト教なりにすぐれた遺産も残している」と、検証し直した本。

人間は被造物である、という「神様が造った」的な言説は普通ハナから荒唐無稽と思ってしまうが、田川建三が「神様なんていてもいなくてもいいが」と言いながら語るとき、今まで胡散臭かった「被造物」なる言葉がいきなり新たな意味を帯びる。
「神」はそれぞれの文化・思想信条で言い換え可能な変数(「自然」でも「宇宙の摂理」でも「大日如来」でも「アッラー」でも「大きな力」でも、何でもいい)なのだと気づいてみれば、今まで不可解(というより荒唐無稽)だった聖書の言葉が、ちゃんと意味ある論理として立ち現れる。しかも見事に「当たり前」な話として。

第1章を読んだだけでいくつも目からウロコが。2章以降も楽しみだ。

田川建三




  1. 2007/09/08(土) 23:41:01|
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北川子ライブ in 夢屋LOOP139 2007.9.1

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先日(9月1日)行われた北川子ライブ(夢屋LOOP139)の模様をフリッカーにアップしました。
来週8日(土)もありますよー。ぜひぜひ。

http://www.flickr.com/photos/kamauchi/sets/72157601862317931/show/
  1. 2007/09/05(水) 00:06:57|
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次の展示は「町猫」!

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次の展示は10/30(火)-11/11(日)、大阪・文の里のギャラリーmaggotで「町猫」です。

「町猫」

かわいい系の猫写真ではありません。決してあなたを癒しません!(笑)
武内正樹、カマウチヒデキ、MUZU、寺田正春、大木一範。

詳細決まればまたご案内いたします。
「CONCRETE」に「町猫」に、10月11月のギャラリーmaggotは面白いよっ!


  1. 2007/09/03(月) 01:09:59|
  2. 展示
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