OK,Darling. But What is Photograph?

だから写真って何なのよ/カマウチヒデキ

明るい写真と閉じた幸福論

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先週からギャラリーmagggotに出ている藤野全久さんの写真が、まぁ僕の周囲の狭い範囲でではありますが、話題です。
先週の「ましかく」展で、女性の「部分」ポートレートを出してたのが、非常に美しいプリントで、あまりに評判がいいので今週の「女の子を撮る」展にも無理矢理引き続きで展示続行されているそうです。

僕は個人的には、壁に架かっている4枚よりも、彼が自作自綴したポートフォリオの方により感動しました(展示の4枚もすごくいいんですがね。特に血豆の写真 笑)。
佐内正史的な、と言ってしまうと微妙な響きですが、静かで明るく突き抜けた感じのプリントの底から、微細にすーっと生活の香りが漂ってくる感じが、とても美しいのです。
それこそ一番佐内的(?)な、電気コードを足の指に巻きつけた写真が、すごく好きでした。

なんか、ポートフォリオがあまりに良かったので、思わず帰り道アクリュに寄ってパリちゃんに「良かったよねぇゼンキュー君」と話しに行ったほど。

明るい写真を撮る人が明るい心持ちで撮ってるとは限らない、というのは、自分の経験上よくわかっています。
僕が今まで撮った写真の中では「珍しく明るいですね」(苦笑)と言われる『ブロニカ日和』は、実は決して明るい心境で撮ったシリーズではありません。どちらかというとものすごく寂しい閉塞感にとらわれていた時期の撮影です(もう4年も前の撮影なんですが)。
こういうときはかえって明るい写真を撮りたくなるんだなぁと。
この写真たちは、言ってしまえば「狭く閉じた独りよがりの幸福論」なのです。

全久さんの撮った「突き抜けた明るさ」は、さて彼のどんな気分から生まれてきたんだろう、なんてついほじくりたくなってみたり。
なんせ見た感じとらえどころのない、不思議な雰囲気の青年なので(笑


zenq's Flickr




  1. 2008/10/30(木) 23:33:15|
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ユリイカ10月臨時増刊号

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青土社、ブラボー! 
さすが『ユリイカ』。
10月臨時増刊号・総特集・杉浦日向子!

日向子さんの漫画はもちろん全部単行本で持ってるけど、全集版は部分しか買ってないので、手に入るうちに揃えておこうかなぁと画策中。
漫画じゃない、文章の著作も大半は持ってるが、全部というわけではないみたい。絶版の前に揃えておかなきゃなぁ。

ああ、日向子って、いい名前だな。
うちの子の名前にもらってしまったんだから、一生あなたの名前は特別であり続けるのです。

なくなってもう三年経つんだなぁ。
『百日紅』の続きが読みたいよ日向子先生。



参考









  1. 2008/10/29(水) 01:05:17|
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美しい物語と嬉しい話

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女「でもな、彼女の方が成績とかええわけやん? それって男の立場としてどうなん? やっぱり複雑なもんがあるわけやろ」
男「違うねん。負けてることにはな、抵抗はないねん。そんなことにこだわりはないねん。ただな、負けてることでな、負けてるぶん、その娘を支えてあげられへんやん。それが辛いねん」
女「そうなん? そういうもんなん?」
男「男って基本的にな、そういうとこあんねん。夢を追わんとやってられへんねん」
女「女の方が現実的っていうもんなぁ」
男「男はな、こっちの方が得やから、っていう発想はないねん。これや思うたらこっちへ行く、っていう、そういうもんやと思てるから」
女「あんな、あんな、塾の先生が昔言うとった。男はいっつも『だから、だから』って言うやろ。女はいっつも『でもね、でもね』って言うねん。な、な、当たってると思えへん?」
男「そうかな。そうかもしれんなぁ」
女「男の方が要するに子供やねん」
等々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々々。

残業帰りの電車待ちの駅、隣の椅子にやってきて、延々と上記のような中学生レベルの、いやもしかしたら小学生レベルの会話を始めたカップルは、こんな遅い時間に中学生がいるのかと振り向いてみれば、推定年齢20代半ば同士の、れっきとした大人のカップルなのである。
あああああああああああああああああああああああもうっ!
脳みそ腐るような会話すなっ!
早く電車来いっ!
そのウザい会話やめい!

今俺は『諫早菖蒲日記』という世にも美しい小説を読んでるんだ! 
下がりおれ!
(時代ものの小説なので、頭の中の怒りの声まで言葉遣いが変わる)

・・・・・・・

というわけで、野呂邦暢『諫早菖蒲日記』、二十年ぶりくらいに読み返しているのです。
いい小説だというのは知ってました。そりゃ読んだんですから前に。
しかし。ここまで良かったかなぁ。
20歳で読むのと41歳で読むのではこんなに違うのかなぁ。

20年前の僕はどうしてこの本を「ああ、いい小説だった。ちょっと地味な話だけど」なんて感想で済ませてしまえたんだろう。そこまで愚鈍な感受性で生きていたのか?

この小説を読んで吉爺を、志津を、志津の父を好きにならない人間なんているんだろうか。
現実の人間であれ、架空の世界の人間であれ(志津父娘は実在の人物らしいが)、もちろん男であれ女であれ、ああ、この人のことが好きだ、と思える瞬間って、ものすごく幸せなことだと思う。
今僕はこの小説の登場人物たち(とくに吉爺)のことが好きで好きで、とっても幸福な気分なのです。

・・・・・・・

若者たちよ、そんな出来合いの言葉だけでパズルみたいな会話をしてる場合じゃないぞ(しかも噛み合ってさえいない 失笑)。
世の中にはこんなに美しい言葉が、物語が、まだまだいっぱいあるんだぞ。

で、こんな美しい物語を絶版にしている文藝春秋。
とっとと復刊しなさい! 
儲かる、儲からないの話ではない。この美しい物語を後世に伝えるのは出版を生業とするものの使命だろう。

・・・・・・・

ついでみたいに書きますが、大きな慶び事を。
ヒナコの足の手術、無事に終わり、今日めでたく退院いたしました。18日プラス8日、計26日の入院に2回の手術。よく頑張ったぞヒナコ!
執刀してくださったK先生にS先生、看護士その他のスタッフの皆様、本当にありがとうございました。
ご心配をおかけした皆様にも感謝を! ありがとうございました。



  1. 2008/10/27(月) 22:44:06|
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メモ

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うう。腰言わした。

ちなみに腰を痛めることを大阪では「腰言わす」といいますが、これって大阪だけかな。
言わすって、何を言わせるのかというと、まぁ多分腰に悲鳴とか愚痴を「言わす」ってことなんだろう。
ガラの悪いお兄さんが胸ぐらつかんで「うりゃー、言わしたろか!」とか言いますが、似た使い道ですね。

なんて蘊蓄はいいとして、まじ腰痛いです。ううう。

・・・・・

今津駅前の王将のネギ塩焼きソバは非常に美味い。630円。
思わずこんなとこに書き込んでしまうくらい美味い。

あ、でも王将って各店舗で(餃子以外は)メニューばらばらだから、どこの王将でも美味い、というわけではないと思います。
阪神今津駅前王将ね。注意ね。

・・・・・

野呂邦暢『一滴の夏』読了。うーん、好きだ。
代表作の復刊を切に望む。
ちなみに『落城記』まだ出てきません・・・。

  1. 2008/10/24(金) 01:52:49|
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橋本大和/遠藤慎二/TANATOS

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■橋本大和個展『 」と「 』(ナダール大阪)

写真集というのは欧米では右側片面のみ画像を載せて左頁は白、というのが最近までは多かったそうだが、日本では見開き両面に写真を配することが多い。
だから左右二枚の写真でひと組み、というのはレイアウトとして日頃から目に馴染んでいるのだけれど、いざ自分で「二枚ひと組」を組むとなると、これがなかなか悩ましい。

僕の最初の展示は2006年1月、渋谷ルデコでのグループ展『7』。
当時webで写真を発表するのに「Book of Days」というタイトルを付けていたので、Bookなら見開き2枚だろうと考えて2枚セットの写真を7組作って展示した。
この2枚を一つに組む、という作業は、考えはじめるといくらでも答えがあるし、これだという「正解」はないんだけれど、じゃぁ何でも良いかというと、「正解」はないくせに、「不正解」は厳然としてある。
考えるうちに「組める」2枚より、「組めない」2枚の理由が気になってきて、いつまでも配置が決まらなかった覚えがあります。

まったく関係のない内容の写真を二枚組むという作業は、双方の写真を生かす場合もあるし殺してしまう場合もある。
1枚じゃ見えてこない「意味」を他の写真と組むことによって捏造(?)できる場合もあるし、逆に語りすぎる、饒舌すぎて暑苦しい写真をあえて「殺す」組み合わせではじめて生かせる場合もある。

僕の『7』のときの場合は2×7=14枚の写真を横一直線で構成するよりも、2枚ごとに強制的に息継ぎさせるというか、テンポを強要するというか、そういうあくまでリズム的なことに重点を置いて組み合わせを考えたような記憶があるけれど、「組む」ということで出せる効果には、もちろんもっと色々なバリエーションがるだろうと思う。

橋本さんの『 」と「 』は、この2枚(一部3枚)の間に生じる引力的なものを確信犯的にいじくって、「組む」ことによって出てくるいろんな作用を展示してみた、という感じなのかな。
色の聯想、形の聯想というくすぐり的な組み合わせもあり、解釈を拒絶する組み合わせもあり、3枚の連続の中央に思いっきり断絶を打ち込む手を打ったり。

個人的にはお札の複写?の組がツボでした。


■遠藤慎二『kuzu-ha #2 bump』(サードギャラリー・アヤ)

粒子崩壊寸前の大伸ばしプリントと、焦点崩壊寸前の極薄ピントで、すべて曖昧に溶けそうな画面に引っ掻き傷のように焦点の痕跡を刻むという印象的な展示だった前回の『#1』。
「痕跡を刻む」という能動的な前回に比して、今回、入場前にギャラリーの入り口からガラス越しに展示が見えた途端に迫る閉塞感。
檻に閉じこめられたような空間に、いきなりビビる。思わず、一緒にギャラリーに居合わせたサチコさんと「遠藤さん、何かあったんかな?」と心配したほど。

まさに「檻の写真」が、時間を経るに従って、空間的に文字通りの「檻」に思えてくる推移もゾクゾクする。
とてつもなく暗い。

さて『#3』はあるのか? 
サチコさんと、「次はもうkuzu-haじゃなかったりして」と叩いた軽口もじっとり湿度を帯びてしまう感じ。

誤解のないように申し添えておきますが、「暗い」と言っただけです。
大好きですよ、こういうの(笑


■大島利浩・Veico Dojcinovski・中村晃久・林瑞穂・楠山哲也『TANATOSー幻視展ー』(アートギャラリー・フジハラ)

[オーサカセブン] のフジハラビルで、前回一緒に展示をした大島さん楠山さんの他、フリッカーでお馴染みの面々。

何人かが参加する写真展って、『沈降速度』のときにも書いたけど、テーマとか何だとか言う前に、とにかく「人選」で勝負が大半決まるんだと思う。
今回の仕切り役は楠山さんだろうけど、ま、一言で言って、その人選がお見事、なわけです。

言ってしまえば五人五様のバラバラな写真(笑)
しかし演劇とのコラボという条件と、フジハラビルというハコ。その舞台装置に誰を配するかを決めたときに、もう勝負の大半はついているわけ。
うーん。いい人選ですね。

特に林瑞穂さん(パラコさん)を引っ張り出した功績は大。
金の額縁、唸ったぜい w

  1. 2008/10/18(土) 06:25:01|
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必見展示情報

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第2回6-Motion展『R』 ☆正方形写真家による正方形な写真展☆
2008年10月12日(日)~10月18日(土)

《参加者》 勝山信子 北角順一 久保田勝巳 GORAUX 鈴木郁子
竹歳豊 中村浩之 八久保敬弘 林伸吾 福永洋介 谷部敏幸

http://www.photopia.co.jp/gallery/index.html

フォトピア(大阪・西天満)のギャラリーにて開催中です。昨晩観てきました。
うーん、レベル高っ!
見応えありますよ。

福永洋介さん(美しいマット調のカラープリントを出品しておられます)とお話してたんですが、僕自身はあまりちゃんと額装した写真というのを展示したことが少ないんですが(唯一『le modele』のときだけかな)、ちゃんとマットに マウントして額装された写真って、「なんか写真の正装、って感じですよね」と。
整然と陳列された11名の「正装」写真。
ネクタイ締めるのも大嫌いなカマウチですが、額とマットもいいなぁと。次何か展示の機会があれば正装してみようかしらん(額装の話ですよ)。

今週は必見の展示が目白押し。

遠藤慎二さんの個展がサードギャラリー・アヤで(18日まで)。
http://www.thethirdgalleryaya.com/

橋本大和さんの個展がナダール大阪で(19日まで)。
http://nadar.jp/osaka/schedule/081014.html

ブルースさん、パラコさん、トミーさん、青玉さんらの『TANATOSー幻視展ー』が
アートギャラリー・フジハラで(17-20日)。
http://genshiten.exblog.jp/

明日、まとめて巡回する予定。どれも楽しみー!


  1. 2008/10/16(木) 06:57:17|
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文庫なのに!

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久々に読んだ『草のつるぎ』がすごく面白かったので、野呂邦暢の、他に持ってるはずの本を探す。
最近(2006年)みすず書房から出た『愛についてのデッサン』はすぐに出てきたが、他にあるはずの『落城記』(単行本)と『諫早菖蒲日記』(文庫)がいくら探しても出てこない。
家の書棚、3周くらい探したんだが。

ないと余計に読みたくなるのがいけない。
持ってる『草のつるぎ』は古い文春文庫だが、講談社文芸文庫から『草のつるぎ/一滴の夏』というのが出ていて、他の収録作が違うので、1300円もしたが買ってきた。
(毎回文句言ってるけど、講談社文芸文庫、高すぎ!)

『落城記』は、もうひと探しすれば出てきそうな気もするので保留して、『諫早菖蒲日記』をネット古書店で探索。うげぇ! 文庫のくせに3800円なんて値をつけている店がある! 何じゃそりゃ!

カードを持たない僕はアマゾンで買い物ができない。銀行振込で購入可能なところからしか買えない。
アマゾンには1000円くらいから出ているが、銀行振込で買える店での最安値は2500円だった。
もう一回言うが、文庫ですよ、文庫。
しかも前に持ってたはずの、ね。

でもムキになってる僕は、押してしまうのである。えいっ!
振り込む段になって後悔しそう。

意地張らずにカード持つべきかなぁ。

・・・・・・

文庫というのは名作を残すためにあるのではないのか、出版社さんたち。
何でもかんでもすぐに廃刊にするなー!








  1. 2008/10/12(日) 00:37:14|
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天牛堺書店

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ヒナコが入院しているので、南大阪方面に週に何度か通っている。
御堂筋線の南端・中百舌鳥から泉北高速鉄道に乗り換えて光明池という駅で降りる。
実は僕は堺市出身なので中百舌鳥も光明池も昔から馴染みのある場所で、病院の行き来は遠いけれど、知った場所だとあまり苦痛でもない。

ヒナコの話はさておき、乗り換えの中百舌鳥駅にも、目的地の光明池にもある本屋の話を。

織田作の小説なんかにも出てくる大阪の古本屋の老舗といえば天牛書店だが(天牛書店は今は緑地公園に移転。遠いけどいい古本屋ですよ、今でも)、その天牛とどこかで暖簾分けでもしたのだろうか、天牛堺書店という名の書店チェーンが、僕が堺に住んでいた頃から南大阪ではけっこう根を張っている。
面白いのは、基本的に新刊書店なんだけど、店外にぐるりと古書コーナーがあって、両方扱っている、というところ。

御堂筋線から泉北高速鉄道への乗換のための人の流量の多い通路にも一店舗あって、そこで堂々「古本1冊1000円均一!」という張り紙を出してるのを見て、ものすごく懐かしくなった。
ブックオフへ行けば100円で古本が買える時代に、なにゆえ1000円均一コーナーなんてものが存在できるのか? 
答はこう。十数店ある支店間を、けっこう狭間隔でぐるぐる在庫を回すのだ。
たとえば光明池店で1000円均一で売られていた本の山が、次週には中百舌鳥店に移り、どこぞの支店から大量に送られてきた在庫が、その週の光明池店で「220円均一!」で売られる。
そう、週替わりで1000円均一、220円均一、780円均一、など値段ランクの違う品揃えが各店を巡回する。
大量の在庫は古書センターと称する大きな倉庫で一括管理され、何週めかに同じ価格帯が回ってきても、内容はちゃんと入れ替わっている。

古書を売る方法として、ものすごく良くできたシステムですよね。

ブックオフは一定期間定価の半額で売って、売れ残りを100円均一に落として、というシステム。売れなければ百円、という明確なシステムのため、店員に古書の知識が要らない。そういう意味のスタッフを育てる苦労を捨てているわけです。
だから安く本を売れる。
しかし、たま~のお宝お買い得物件はなくもないけど、(断言してしまうけれども)基本的にろくな本はない。

しかし、天牛堺の客は週ごとに特定支店に通っていれば、いろんな価格帯の(つまりいろんな内容の)古書が、勝手に回って来てくれる。
今週は220円均一だから古い文庫を探そう。今週は780円均一だから新刊価格1500~2000円あたりのハードカバー文芸を狙おう。1000円均一の週は学術系か美術系を探索・・・という感じで。

1000円均一週の中百舌鳥店で田川建三の『イエスという男 <増補改訂版> 』(作品社)を発見!
もともと三一書房から出ていた初版を持っているので、ほんのちょっと訂正が入ったくらいの増補版に3000円近く出す勇気は出ず、しかしどこを改訂したんだろう・・・と気にはなっていた本。
田川建三は、前にも何度かこのブログにも書いたことあるけど、高校時代にすごく影響を受けた思想家・宗教研究者で、中でも『イエスという男』は数え切れないくらい何度も読み返した名著中の名著。
1000円なら、もう迷いなく購入です。

こんな本に、まさかブックオフで出会えるとは思えない。
頑張れ天牛堺書店!
これからもいい本回して下さい。









  1. 2008/10/11(土) 00:49:18|
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近代情痴集/草のつるぎ

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例によって個人的な読書メモですから、皆さんお気になさらずに。

『潤一郎ラビリンス5 少年の王国』(中公文庫)に続いて『潤一郎ラビリンス4 近代情痴集』を読み終わった。「富美子の足」が好きだなぁ。執拗、なんてもんじゃない粘着質の描写力に感心、というか、呆然というか(笑)。ここまでの情熱をかけて描写されるに値する女性の足、というのを一度見てみたいものです。

もう一冊買い置きしてあるはずの『潤一郎ラビリンス2 マゾヒズム小説集』を探したが机の上からも鞄の中からも出てこない。
こういうことよくあるんです。1年くらい経ってから本屋の袋ごと出てきたりとかね。
くそぅ。気分はすっかりM系だったのに。

仕方なく古い文庫棚から野呂邦暢『草のつるぎ』(文春文庫)を抜いて行く。
20年くらい前に買った文庫だ。紙、変色しまくりです。
野呂邦暢は昔何冊か読んで好きだった覚えが。『落城記』とか『諫早菖蒲日記』とか、良かったような記憶がある。
この『草のつるぎ』も読んだはずだけど、あまり記憶がないので読んでみた。
野呂邦暢自身、一時期自衛隊にいたことがある人なので、その体験を基にして書いた本。
うまいなぁ、という感想もどうかと思うが・・・いや、うまいなぁ野呂邦暢(感想になってない)。
第70回芥川賞受賞作。ううん、賞の名に恥じない。

『落城記』ももう一回読みたくなって探す。・・・ない。
なんでだ? 引っ越してからかなり本の整理はしたのに。見つからん!
見つからないならまた買うか、と思って調べたら、うわ、絶版だ! 
意地でも探さなきゃ・・・。
あ、『マゾヒズム小説集』も。




  1. 2008/10/07(火) 00:53:30|
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清原

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ヒナコの手術&入院のこともあり、最近ずっと写真から離れている。

なんとか持ち歩いてるカメラはGRD2。リハビリみたいな感じでチャカチャカとシャッターは押してみるけど、USBケーブルで吸い上げてみたら、哀しいくらいにろくなものが写っていない。

小さい気軽なカメラだから、とか、そういう問題ではないだろう。今はきっとブロニカ持ってても駄目なんだと思うな。集中力がまったくない。
まずこういう絵が撮りたいんだ、というイメージすら浮かばない。

こんなことじゃいけないような気がして、ヨドバシで印画紙を買ってきた。
撮れないならプリントくらいしようと思ったのだが・・・買ってきたとたんに風邪をひいた。
しんどすぎて暗室に入る気すら起こらない。

・・・・・・・

オリックス清原が引退したので、彼の特集番組をやっていた。
僕と清原は同い年なのだ。ジャイアンツにいた頃は死球くらって再起不能になっちまえ、というくらい嫌いだったが、僕はジャイアンツを辞めた選手はみんな好きになるのだ。駒田とか、仁志とか、工藤とか。

オリックスに来てからの清原は、なんていうか、本当にいい顔をしてますね。怪我でろくな活躍も出来ず本人は不本意だったろうが、顔つきが、なんともいい感じ。

清原・桑田がまだPL学園で怪物と呼ばれていた頃、僕は大阪府立M高校という進学校にいたのだが、2年の時そのM高野球部が何故かあれよあれよと秋季大会を勝ち進み、準決勝でPLと互角の勝負をした。
PLはちゃんとピッチャー桑田、四番清原のベストメンバーで闘ってくれ(二軍が出てくるんじゃないか、と試合開始まで本気で心配していたのだ)、我らがM校は0-1という僅差で敗れた。
M校エースのm君は清原を4打数ノーヒットに封じ込め、そのうちの一打席なんかは三球三振だったのだ。
唯一の失点はキャッチャーのパスボール。試合終了後、キャッチャーYさんの悔し泣きの顔が忘れられない。

次の選抜大会では秋季大会でPLに善戦した功で、PLとともに甲子園に出場した。府立の進学校が、と、ちょっと話題になったものである。
残念ながら1回戦、エースmがデッドボールを肘に食らって痛みに耐えながら続投するも途中降板、ピッチャー交代してからはボコボコに打たれてあっさりと姿を消した。

野球部でもないのに、なんでここまで詳しく知っているかというと、なんとカマウチはM校の応援団員だったのだ(笑
まぁ進学校のことだから、特に強い運動部というのもなく、応援団というものが正式に存在したわけではないのだが、野球部のピッチャーmは凄いらしい、ことによると甲子園も夢じゃない、なんて雰囲気になり、急遽応援団が結成されたのだ。

あははは。学ラン着て笛吹いて声張り上げて、秋季大会も甲子園も行きましたよ。このカマウチが。

・・・・・ということを、この清原引退のニュースで、昔のPL時代の映像が流れたことでようやく思い出した。
応援団って。あはははは。ほんと、自分でも笑ってしまうわ。あはははは。

あれから24年か。


  1. 2008/10/04(土) 00:42:11|
  2. 日々
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風邪ひいた

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風邪ひいた。
最近病院にいることが多いので、浮遊菌をしっかりいただいちゃったようである。
ただでさえ職場に迷惑かけてるのに、迷惑かけついでに今日は一日休んで寝倒した。
夕方、やっと起きられたので医者に診てもらい、薬を出してもらう。
ついでに「風邪に効きそうな夕飯は?」と考えて天下一品のラーメンを食う。あの栄養満点そうなスープ(笑)。頼む、効いてくれ。

朦朧と寝込んでいるときに読むと気持ちよさそうな本選手権~。
泉鏡花『高野聖』かな。
蛭に吸われまくるとこなんか、ぞくぞくものよ。
『草迷宮』も読みたくなったが見あたらず。

もう一回寝ます。

  1. 2008/10/02(木) 22:11:46|
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読書ネタ続く(谷崎/風歩)

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読書ネタのときは皆さんの反応少ないけど、僕はそんなことではいじけません(笑)

■谷崎潤一郎『潤一郎ラビリンスV 少年の王国』(中公文庫)

読んでるようであんまり読んでない谷崎潤一郎。
昔、生前刊行の谷崎全集を古本屋で安く買ったので、有名なところは一通り読んだはずだけど、今回この本に入れられてる短編は全部初めてだった。
なんか、もう夢中。
しばらく続けて読もっと。

■森山風歩『風歩』(講談社)

クレジットを見なくてもわかる、表紙写真byアラーキー。
手に取ったきっかけはこの表紙の写真。目の潤んだ、でもどことなく固い表情の女性の顔のアップ。
表情が固い理由はすぐにわかる。
森山風歩さんという進行性筋ジストロフィーと日々闘う27歳女性の自伝なのだ。

相当凄惨な家庭に育った人です。金はあるけど、金以外のものがまったくない両親に虐げられて育った動きののろい女の子。
小学校三年生で自覚症状が出始めたのに、中学生になるまで病気であることを親にも学校にも認めてもらえず、家でも学校でも虐げられる日々。
13歳で「筋ジス」とわかったときには「病気だったことにホッとした」という。
軽く書いてるけど、心底ぞっとする話です。

親から介護放棄されて放り出されたりとか、最低な彼氏に電動車椅子のバッテリーを取り上げられて放置される話とか、車椅子で街を徘徊する話などに慄然とさせられたり。
施設で出会った「はじめてのまともな大人」藤田先生の至誠に感服したり。
アラーキーとの交流に和まされたり。

ぎこちない文章ながら、そのぎこちなく心から絞り出すように吐く言葉にちゃんと血肉が付いていて、
「生きると死ぬはイコールだわ。
だから、死ぬってことは生きるってことだわ・・・と思った。
だから、あたしは、人として生きることはどういうことか、人間というものは何なのかを少しでも掴んで生きたい(死にたい)と思った」
なんて書かれると、ズキズキとこっちに刺さって来るのです。


  1. 2008/10/01(水) 01:22:17|
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