OK,Darling. But What is Photograph?

だから写真って何なのよ/カマウチヒデキ

読書

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■なくしていた吉村昭『東京の戦争』(ちくま文庫)ひょっこり見つかる。ああよかった。めったに使わない鞄のポケットから発見。どこに行くのに持ち出した鞄かも思い出せない。まぁ出てきたのでよしとする。残1/3読む。■吉村昭『海も暮れきる』(講談社文庫)も終了。人間の精神と身体が毀たれていくさまを冷徹に観察するように克明描写するそら恐ろしい小説。土葬の棺を一年後に火葬にするため掘り起こす場面まで行く徹底ぶりにびっくり。この徹底的に「みっともない」男の最晩年を克明に描写しながら、清冽な自由律俳句を対比させるのがこの小説の肝なのだろうが、尾崎放哉の句にいまいち共感しきれないだけに、ただ「みっともない男がみっともなく死んでいくさまをそのまま描いた、凄絶な小説」として、全球真正面から受け止めた。重い球だ。■川上弘美『センセイの鞄』(平凡社)を読んでいる。初読である。「え、読んでなかったの?」という声が聞こえる。ええ、読んでませんでした。夏目漱石の『行人』を称揚しながら『坊っちゃん』や『我輩』を読んでいないようなものだって? ええ、僕は『坊っちゃん』や『我輩』を読んでません(本当です)。まぁ、それはさておき、まだ途中だけど、ぐいぐいやられる。凄いなぁ。
  1. 2010/04/30(金) 01:10:28|
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咳をしても一人

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ほんの15分ほど早く起きれば毎日武庫川沿いを通って通勤できるものを。
いつもギリギリに出るもんだから最短の線路沿いコース(自転車35分)で職場に通っている。今朝は久しぶりに早く出て川のそばを走った。夜見る川とは当たり前だけど全然違う。武庫ぬー(この記事参照)たち、今日は6匹見た。朝から優雅な気分になる。

スランプに陥ったらカメラを替えろ、という言い訳でベッサR2を買ったら、根が単純なもので、じゃかじゃか快調にフィルムを消費している。自転車に乗りながらでもシャッターを切っている。暗室の隅に転がっていた古いフジカの6×9を売ったら4000円(4万円じゃないよ4千円だよ!)だったので、あまりの安さに馬鹿らしくなってそのお金でベッサのグリップを買った。そのグリップのおかげでピント固定にして片手でシャッターが切れる。単純さに笑っていただいてかまわないが、つくづく僕はライカじゃなくてベッサな人だ。本当にこのカメラと相性がいい気がする。
ライカはよいカメラだが、やっぱりその名が纏っている諸々が、頻繁に鬱陶しい。うっとりする巻き上げとか手触りとか無音のシャッターとかが、かえってウザく感じる。
その点ベッサのBクラス感は最高。「無用なA」を削ぎ落としたB。ベッサはライカに追従しているように見えて、その実、ライカ批判でもあるのだ。
とりあえず飽きるまでベッサで乱暴に撮りまくってみようと思う。

・・・・・・

吉村昭『海も暮れきる』(講談社文庫)を読んでいる。
自由律俳句の尾崎放哉の物語。どうにも駄目駄目な人間で、読んでて胸が痛くなる。「咳をしても一人」「考えごとをしている田螺が歩いている」とか、なんだか凄いのは凄いが、五七五という形式を外して本当に詩情のエッセンスだけをとりだして、絞りすぎて身も蓋もなくなってしまった世界な気がする。
この身も蓋もなさはなんだか写真にも通じる気がして、他人事にやりすごせない。
「咳をしても一人」、たしかに、なぜか沁みる句ではある。


  1. 2010/04/26(月) 01:16:44|
  2. 写真
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さて。

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モノクロ再開。
しばらくはゼラチンシルバー野郎。
理屈は後からついてくる。


  1. 2010/04/24(土) 01:31:58|
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盆暮れにしか現像しない人

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多分半年ぶりにフィルム現像。その半年前の現像からして半年ぶりくらいだったはずで、なんと一年に二回くらいしか現像しない人になっている。週に三回くらいやってたときもあったのになぁ。それくらい遠くなってたモノクロ写真。
中村さんとの二人展からこっち、すっかりカラーしか撮っていなかった。脳内はすっかり天然色。今、脳味噌をモノクロームに戻すためにベッサで消費期限切れ(6年落ち!)アクロスをせっせと消費中。千本ノックで色を追い出すのだ!

リールにフィルムちゃんと巻けるかどうかすら不安だったが、なんとか失敗せずに6本巻けた。ああ怖。
6年落ちアクロスは、全然感度低下もなく、普通に現像できてる。ただ、定着を終えて定着液をビーカーに空けたらびっくりするくらいピンク色で、いつまでたっても抜けない。ハレーション防止の色素が変質しちゃってるのかもしれない。まぁ、気にせず次も使うけど(前浴して色抜きしたほうがいいかなぁ)。
長タンク2本攪拌で振り続けてたら、今腕が痛い。どんだけ筋肉ないんやろ、僕。

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読書。吉村昭『史実を歩く』(文春文庫)。『破獄』や『桜田門外ノ変』『生麦事件』の執筆裏話。
『破獄』の脱獄王や『羆嵐』の熊撃ち漁師など、吉村昭はなぜ主人公を仮名にしてしまうんだろう、と不思議だったが、本書を読んで納得。仮名でしか語れない真実というものがあるのですね。

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あ、ちなみに僕は職場で「盆暮れにしか髪を切らない男」と呼ばれています。





  1. 2010/04/20(火) 00:59:27|
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ベッサR2オリーブ

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ベッサR2(オリーブ)入手。
前にR2(黒)を使っていたことがあったが、他家(ありま秀丞さんち)へ嫁いでもうずいぶんになる。そうそうこの感じ、久しぶりだ。
オリーブのボディはシルバーのレンズを付けると、めちゃ可愛い。
可愛い、なんて理由でカメラを買うなんて滅多にない。Exa-1以来だろうか。まぁどんな理由でもあまりカメラを買わない人なのだが、たまにはこういうのもいいだろう。
ちなみに、委託品なので相場の半額。現物を見ずにえいやっ、と買ったが、ほとんど使ってない感じの綺麗なのが来た。ラッキーである。
写真的に煮詰まったときにはカメラを替えてみる。


  1. 2010/04/18(日) 00:32:24|
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神を信じないクリスチャン

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新潮社の季刊誌『考える人』10年春号「はじめて読む聖書」。1400円もするが、そして僕は今貧乏でピーピー言ってるが、買ってしまった。
田川建三のロング・インタビューが載っていたのである。珍しいことなのではないかと思う。しかも横顔だけとはいえ写真があった。26年前(高校1年生)からの読者だが、そういえば田川建三の顔って知らなかった。
高校生まで堺に住んでいて、近所に大阪女子大があったのだが、いつもそばを「田川建三、この学校で教えているんだなぁ」と思いながら通過していた。北三国ヶ丘にあった堺キリスト教書店という非クリスチャンには多少入りにくい雰囲気の書店で田川建三の本を少しづつ揃え、「もしかして本人に会ったりしないだろうか」などとちょっと期待したりしていた。シモーヌ・ヴェイユなど読み始めたのも、もろ田川建三の影響だった。僕が女なら迷わず大阪女子大を受験しただろう。
それくらい好きだったくせに、よく考えたら顔を知らないのだった。この雑誌の特集ではじめて見た。横顔だけど(あとでwebで画像検索したら正面向きの顔もたくさん出てきた)。
あの舌鋒鋭い文章とは裏腹に、ものすごく柔らかい雰囲気の顔貌だった。拍子抜けなほどに。年はといえば74歳なのだという。今刊行中の『新約聖書 訳と註』シリーズを完成させるのにあと4年かかるらしい。そのとき78歳か。神様、田川建三に、願わくばあと20年の余命を。あ、神様、なんて言っちゃった。この雑誌のインタビューのタイトルは「神を信じないクリスチャン」である。もちろん僕も神様など信じる人間ではない。
神様を信じない人にも、絶対おすすめするのが、現在は作品社から出ている田川建三『イエスという男』。高校1年生で初めて三一書房版を読んで以来、何度も何度も繰り返し読んでいる。かなり影響を受けた本。評論集『立ちつくす思想』(勁草書房)や『宗教とは何か』(大和書房)も、本がボロボロになるまで読んだ。
作品社の大部『新約聖書 訳と註』シリーズは、マニアックすぎて買ってないけど、マルコくらいは買っておこうかな、とも考え中。
スナフキンが聞いたら「おい君、あんまり人を崇拝しすぎちゃいけないよ。不自由になるから」と諭されるだろうか。いや、崇拝、とかじゃないのです。『イエスという男』にだって『立ちつくす思想』にだって「ええ、そうかぁ?」と感じる部分もあるし。べったり信奉してるわけではない。
ただ、論者としての「たたずまい」が、どうにもこうにも、なんだか、好きなのである。




  1. 2010/04/14(水) 06:25:32|
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撮らない風景

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ベッサR2のオリーブかR3Mのグレーが欲しい~などと久々にカメラ物欲。持ってるウルトロン35/1.7と組み合わせたら可愛いだろうな、などと妄想する。そう、妄想である。言うほどには本気で欲しいわけではない。大体こんなこと言い出すのは、写真的に煮詰まっているときである。6月頃に鶴橋の金丸真さんの一畳ギャラリーに出させていただく以外には展示の予定もないし、写真生活はダレダレである。風邪は治ったが体調は今いち。

仕事帰り、自転車で武庫川沿いをしばらく北上するルートを最近続けている。「写真を撮らずに」風景を堪能することが、ものすごく贅沢なことのように思える。「撮らない」と決めて眺める川の風景は画角的には35mm換算の20mm前後に感じる。視界の周囲からも茫洋と風景が降ってくる風だ。
撮るつもりで目をこらせば、画角は50mm前後に窄まってしまう。
いつも50mmでいることばかりが能ではない。「撮らない20mm」でいることも心身の滋養。

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相方がブックオフでGUS VAN SANT『108 PORTRAITS』、ALLEN GINSBERG『PHOTOGRAPHS』、奈良美智『UKIYO』を、各400円(3冊計1200円!)で買ってきた。素晴らしい。

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読書。吉村昭『破獄』(新潮文庫)。





  1. 2010/04/11(日) 00:09:09|
  2. 写真
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神様

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本はいつでも何度でも自由に読めるのがいいよね、っていうのは嘘だ。川上弘美『神様』(中公文庫)を読みながら考える。この本に所収の『夏休み』や『花野』や『星の光は昔の光』あたりの短編は、何度も繰り返し読むべき話ではなく、一番最初の、頭がサラッピンの状態でその文字列を踏んでいかねば味わえない、地雷のような快楽に満ちている。踏み損ねたら次はない。読みながらそういう緊張を強いられる。一文字、ひとセンテンスを、カギカッコの中のセリフ一つを、読みのがしてなるものかという緊張感。
いつか再読するだろうが、残念ながら、誓っていいが、最初に読んだときのこの感動には追いつけないだろう。読みながら「次はない。次はもうない。今、隅から隅まで味わい尽くさなきゃ!」と焦らされる。
一見(小川洋子などより)無造作に見えて、なんと一鑿一鑿の鋭角的で精緻なことか。僕はもう一生「川上弘美の『神様』を初めて読む」という快楽にひたることができないのだ。酷いことだ。酷いことだ。

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僕は以前にも書いたが、野呂邦暢の『諫早菖蒲日記』を、日本最高の文芸作品だと思っている。あまりにも好きすぎて再読ができない。繰り返し読んで味を深めていくタイプの文芸もあるだろうが、『諫早菖蒲日記』は多分それではない。あの本を初めて読んだときのあの感動には、おそらく繰り返し読んでももう会えないのではないかと思う。
何度でも読みたい名作、というのがある一方で、「素晴らしすぎて二度と読めない」ほどの名作があることを『諫早菖蒲日記』で初めて知った。
もしかして、川上弘美『神様』(に所収のいくつかの短編)もそうだったのだ。嬉しくもあり、寂しくもある。




  1. 2010/04/07(水) 00:21:18|
  2. 読書狂
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第25変奏

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さっきたまたまテレビつけたら坂本龍一がゴルトベルクの25変奏をハープシコードで弾いてた。
なんか良かった。
この第25変奏、昔は一番地味でかったるい曲だと思っていたが(とばして聴いたりしてた)、年を食ってくると、しみじみ好きな曲になった。




  1. 2010/04/04(日) 00:25:13|
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読書など

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■森達也『いのちの食べかた』(理論社YA新書よりみちパン!セ)。類書はよく読んでるので特に目新しい部分はなかったが、まぁいいとしよう。羊を一撃で殺せず苦しめてしまったことに何十年たっても心を傷めている屠殺職人の話とか、しんみりした。■吉村昭『東京の戦争』(ちくま文庫)、佳境だったのに、本をなくした(泣)。カバン替えたりしたからどこかに紛れているんだと思い探したが、どこからも出てこない。うううう、続きを読みたいっ! どこだ!?■永江朗『不良のための読書術』(ちくま文庫)、勉強になる部分もあり、納得できない部分もあり。ゴダール式読み飛ばし術なんて言われてもなぁ。面白くても途中でやめろって? 僕ちゃんマジメだからそんな読み方できな~い。あなたの本飛ばし読みしてもいいんやね? ほんとね?■水木しげる『猫楠』(角川文庫)また読んでしまった。猫楠かわいい(笑)。ところでNHK朝ドラ『ゲゲゲの女房』最低視聴率スタートらしいが、なんでだろう。水木しげる、思ったほど人気ないの? 本当に放映時間が変わったことだけが原因?■風邪がまだ治りません。喉痛いです。

  1. 2010/04/01(木) 23:24:52|
  2. 読書狂
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