OK,Darling. But What is Photograph?

だから写真って何なのよ/カマウチヒデキ

50portraits

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http://www.flickr.com/photos/kamauchi/sets/72157624160226610/show/


  1. 2010/05/30(日) 01:21:22|
  2. 写真
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蘭化

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僕は語学の才能がない。努力が足りないだけだと言われるだろうが、何かに向けて努力が出来るというのも才能のうちなのである。僕は語学が出来ないし、語学を修得する努力も出来ない。要するに向いていない。というか、切実に必要としたことがなかったので、とうとう切実になれなかった、というだけの話なのだが。
大学に通っていた1年半で、とうとう語学の単位は1つも取れなかった。最初はちゃんと勉強しようと思っていたのである。が、第2外国語で履修したフランス語の第一回の授業に出てみてびっくりした。フランス人の教師が英語で授業をしていた。わかるわけないだろこん畜生め。

とまぁ、こんなことを話しても誰も興味はなかろうが、なぜにこんな話をするのかというと、吉村昭『冬の鷹』(新潮文庫)を読んだからなのだ。
杉田玄白とともにターヘル・アナトミア(『解体新書』)を翻訳した前野良沢の物語。鎖国下の江戸で、全く情報がないところから、暗号を解読するようにオランダ語を習得し、医学書を翻訳してしまった男である。
彼が手がかりにしたのはフランス語ーオランダ語の仏欄辞書。前野良沢はオランダ語もフランス語も読めないのだが、彼は仏欄辞書のフランス語を無視する、という驚くべき方法でオランダ語を解読していく。
「たとえばでござる。雨乞いというフランス語には、むろんオランダ語の雨乞いという言葉が明記されておりまする。そしてそのオランダ語に、雨乞いとは日照りのつづく折に雨の降るよう祈る意、とオランダ語で註釈がついておるのでござる。つまりその註釈の中のオランダ語の数語でも存じておれば、ああ雨乞いのことかと察することが出来申すではござらぬか」
まさに暗号解読のレベル。青木昆陽がオランダ語の単語を仮名書き列挙した簡単な資料と、この仏欄辞書とをもって、前野良沢はまったくのゼロからわずか数年で医学書であるターヘル・アナトミアを翻訳してしまうのだ。藩主から「蘭学の化け物」略して「蘭化」と呼ばれたほどの蘭学おたく。こういう才のまったくない僕にとっては、蘭の字も取ってしまって、ただの化け物に思える。

・・・・・

仕事、強烈に忙しく、体ヘロヘロ。

  1. 2010/05/24(月) 00:27:54|
  2. 読書狂
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同じ過ちを・・・!!!

あやうくまたカメラを落とすところだった。ストラップをタスキがけにしていたら、ベッサR2のアイレットから二重カンが弛んで外れ、カメラが地面にダイブした。
左脇を走る懐かしい(!)感触。とっさに脇を締め、走るストラップを二の腕で止めた。ぎりぎりR2は生還。よくやった、僕の左脇。

一時期カマウチヒデキという名がweb上で多少の知名度を有していたのは、残念ながら写真家としての名ではなく、「ライカを落とした男」としてであった。今でも「ライカ落下」で検索すれば僕の『ライカ落下日記』がトップで出てくるはず。お試し下さい(検索が面倒くさい人はこちらをクリック )。

すんでのところで5年前と同じ過ちを繰り返すところだった。なんと進歩のない。ニッケル製の二重カンは疲労で次第に弛んでくるのだ。こういう、巻いただけの構造のもの(↓)は良くない。疲労で弛んだところにアイレットが乗り上げれば、いとも簡単に外れてしまう。

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ステンレス製のもの、そして、巻きっぱなしではなく、このように(↓)端部がはみ出ないように途中に段差加工がしてあるものが安心。

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みなさんも家のカメラをチェックしておいた方がいいですよ。頑丈な二重カン、ホームセンターで安価で買えます。もし頼りない金属で出来たものが使われていたら、すぐに交換しましょう。




  1. 2010/05/20(木) 00:02:30|
  2. カメラ
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展示二つ

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展示二つ。
ギャラリー・マゴットは今週サイトーシン写真展『Trivial Scene vol.2』。http://gallery.maggot-p.com/exhibitions/#ex0
猫がいる風景のモノクロ全紙プリントがずらり。決して「猫の」写真展でないところがいい。「猫を撮っているのではない、猫を通して町を見ている」写真。
プリントの大きさが絶妙。猫の写真だと思うから、当然画面の中に一番に猫を探す。猫を見つけた途端、その背後から大きな背景としての町が迫ってくる。で、大きな窓からその「町」を見ているような気分になって、次の「窓」に向かう。
僕が前回の個展(『重力と叙情』)でわりと小さめのプリントサイズを選んだのは、サイトーさんがギャラリー・マゴットで「展示の写真って、ちょっと小さいな、くらいの方がお客さんが集中して見てくれる気がするなぁ」とつぶやいたのを、なるほど、と聞き耳を立てていたからだが、つぶやいた本人は「ちょっと大きめ」で展示してるし(笑)。小さくすると鑑賞者の集中力を引っ張れるけれど、大きくすると、鑑賞者をその世界の中へざくっと飲み込める。写真の内容と照らして、すごく考えられた展示サイズだと思った。巧いなぁ。

もう一つは寒竹泉美小説展『珈琲から始まる物語』(京都・元田中cafe dining near)。http://www.sakkanotamago.com/kokuti0409.html
小説展って何? と思ったら、本当に小説を展示してました(笑)。なるほど、これは「展示」するしかない小説。本という形態では収められない小説、というのもあり得るのだなぁ。面白かったです。
凝ったページ構成&造本にすれば必ずしも「本」として成立させることも不可能ではないけれど、やっぱりカフェで「展示」してるというのがいい。珈琲が話の筋の中心にあるので、読み終わって色々考えた後、やっぱり珈琲が飲みたくなる。で、ギャラリーの隣はカフェなのであるからして、すぐに珈琲をいただける、という寸法。面白かったし、おいしゅうございました。

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吉村昭『冷たい夏、暑い夏』(新潮文庫)読了。『海も暮れきる』と双璧をなす、死についての壮絶な「記録」小説。しかし読後はなぜか静謐な感動を覚える。
決して観念的なだけの意味ではなく、生身の人間が「死にゆく」とはどういうことかを、虚飾なく教えてくれる。




  1. 2010/05/18(火) 23:24:46|
  2. 写真
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自転車に乗って、自転車に乗って

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川の側を走る。





  1. 2010/05/17(月) 00:01:52|
  2. 写真
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廃れる技術ではあるけれど

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一畳ギャラリー用のプリント、スポッティング中。
ちょっと老眼入ってきたか。以前よりプリントを遠くしないと筆が入らない気がする。もうすぐ43歳だしなぁ。
しかし腕は衰えないどころか、なんでこんなにスポッティング素早いんだろう、と我ながら感心。写真スポッティング技能士試験というのがあったら楽々1級取れると思う。ないけどね。

・・・・

中野翠『おみごと手帖』(毎日新聞社)と寒竹泉美『月野さんのギター』(講談社)、「同時進行で」読んでます。寒竹さん、すみません、正直期待してなかったけど(だって、装幀のイラストが・・・ちょっとなぁ)、面白いっす。今、半分まで。こんどサインください。
中野翠は年末恒例出版のコラム集だが、昨年末買い忘れ、半年遅れで読んでいます。安馬が日馬富士になったとか、いつの話やねん、みたいな話題が出てきて、やっぱりこういう本はちゃんと年末に一年のまとめ的な読み方をしないといけないと反省。しかし年々丸くなりますね、中野翠。いいんだか悪いんだか。

・・・・

最近また頭痛多し。体調よくない。
仕事も忙しい。読みたい本も山積みだがなかなか消化できず。
体が疲れているときは無性に人物の写真が撮りたくなります。もちろん仕事以外で。
顔貌を撮るって、ちょっと呪術的な意味合いで、その人から何らかのものを貰う、のだと思う。あ、「元気を」とか「力を」とかじゃないよ、念のため(笑)。
よくわからないけど、「何らかのもの」を。






  1. 2010/05/15(土) 00:53:01|
  2. 写真
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重石

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かれこれ6年近く前のモノクロ写真をプリントする。僕にいくらか写真的才気のようなものがあるとすれば、それが今までで一番発揮されていたであろう頃の写真である。他人の才気を羨むのはさもしいが、過去の自分を羨むというのもどんなものか(苦笑)。
まぁ一生同じテンションで写真を撮れる人もいないし、言い訳でもなんでもなく、ある時期のように撮れなくなって、そこからそれでも撮っていく「それから」が問われるのも写真であると思っている。
だから6年前の自分を妬みはしないが、やはり多少は眩しく感じる。いい写真撮ってるなぁ、カマウチ。

大阪・鶴橋の写真フレームとマットの店「金丸真」の店頭にある(らしい。まだ行ったことないのです)「一畳ギャラリー」に、6月中、カマウチの写真を展示していただけるというので、普段マット&額装をあまりしたことのないもんだからちょっと悩み、写真に「正装」させるなら、逆に過去の制作物の方がいいだろう、という僕なりの結論に達したのです。
プリントしたのは『35℃』のシリーズとその周辺からの6点。
自家現像とプリントをやめていたころのものなので、フィルムはXP2。粒状のなめらかな良いフィルムだけれど、カラー現像方式なのでフィルム上の粒子は銀ではなく色素である。経年変化でコントラストが落ちていく。いままでちゃんとプリントしたことがなかったので、ネガがヘタらないうちにプリントにしておこうと考えたのもこのシリーズから選んだ要因。

プレス機なんか持ってないのでいつもはバライタ紙のカーリングを伸ばすのに粘着付き裏打ちボードに貼って展示してるのですが、フレーム&マット屋さんだけに、それもなんだかなぁと。
で、今、重石かけてプリントの彎曲を伸ばしてる最中です(上の写真)。





  1. 2010/05/12(水) 23:09:37|
  2. 暗室
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最近川上弘美と吉村昭以外読んでないな(笑)

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狡猾に先を行く。常に何歩か逃げている。絶妙な距離感で置いてきぼりを食らわし、かといって追う僕を悠々と拒まない。酷で、愉快でうすら寂しくて芯に来る。
ほんと巧い。
はい、川上弘美『溺レる』(文春文庫)を読んでいるのです。

・・・・・・

『センセイの鞄』が中高年の男性に売れたそうな。「わしも若い女にもてたい」的なきっかけであの本を読む人がいたのか? 嘘でしょう?
あの話、実際「センセイ」には人格ないに等しいもんね。徹頭徹尾「ツキコさん」の物語。センセイは抽象で、比喩で、なんか鏡のようなもの。そっちの側から読む物語じゃないのに。千夜千冊の松岡正剛までそんな風な軽い評し方をしててびっくりした。

ツキコがセンセイに惹かれて、一気に「恋」にまで駆け上がるあたりの描写なんか、確信犯的な狂気とでもいうか、計算尽くの振り回しというか、翻弄されながら「むむむ、川上弘美、恐るべし」と唸りまくり。
僕らの想像よりさらに一段高い空中を飛べる人を天才というのだなぁ。小川洋子は努力家で秀才。でも川上弘美は天才。
角田光代がどんどん「ただの人」に思えてきた(とばっちり 苦笑)



  1. 2010/05/10(月) 01:24:31|
  2. 読書狂
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凄かった

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ものすごく時間をかけて、相当の緊張を強いられ続けて、川上弘美『センセイの鞄』を読み終える。
本の帯に印刷されている「川上弘美の最高傑作。」という大きな白抜き文字の単刀直入さに、うんうんと頷く。深々と頷く。
十年以上前に書かれたこんな凄い本を今まで読まなかったのか僕は。もったいないことだ。しかしこの本が15万部売れて、十年後の今も楽々入手できる日本という国は、まだそんな酷いことになっていない、と妙な安心をする。良いものがちゃんと売れて残る。そうでなくては困る。

小泉今日子でドラマ化されたそうだが、僕は小泉今日子は嫌いではないが、この話のこの役に小泉今日子はないのでは。
小説より先にドラマに出会ったりしないで、本当によかったと胸をなでおろす。
演出は久世光彦で、ドラマとしての評判も良かったと聞くが、それはそれ、これはこれである。


  1. 2010/05/07(金) 00:07:40|
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ヒリヒリする。

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毎日ちびちび川上弘美『センセイの鞄』を読んでいる。面白すぎて、というか、ヒリヒリと皮膚にまとわりついてくるようなぞくぞく感で、逆に一気に読めない。豆腐窯をつまようじで削って食ってるような、そういう「繊細な濃厚さ」を、じわじわ味わいたい。一日一章。すごいな、この人。ていうか、怖いな、この人。

書店の文芸棚でみつけたユリイカ増刊の『総特集 川上弘美読本』(2003)を、表紙の写真につられて買ってしまった。こんな本を買うほどまだ川上弘美を読んでないのに、なぜ買ってしまったのかというと、表紙の写真がアラーキーの撮った川上弘美のポートレートだったからだ。すごくいい。なんだこの凄さは。
アラーキーって、ほんと何者なんだろか。写真の謎の、相当に大きなものの一つである。

この本の中に島尾伸三が川上弘美を撮った写真もある。その中で彼女が持っている一澤帆布のトートバッグを見て、思わずにんまりする。にんまりした自分に、はっとする。何を嬉しがっているのだ(笑)。高校生か俺は。

同じ鞄を持っている幸せ、とかそういうのはどうでもいいが、同じ時代に川上弘美という作家がいる幸せは噛みしめてもいいと思う。



  1. 2010/05/05(水) 00:38:41|
  2. 読書狂
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