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カマウチヒデキ kamauchi hideki

読書貧乏

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坂口安吾を久しぶりに引っ張り出して読んでいる。
高校生の時にどっぷり嵌った。当時買った角川文庫のシリーズが今でも家にあるが、カバーも中身もボロボロである。相当読み込んでいる感じ。

その後講談社から出ていた『坂口安吾選集』というのを全巻揃いで買った。
さすがに学生の身分で『定本坂口安吾全集』(冬樹社)までは金銭的に追いつかなかったようで、残念ながら『選集』なのだが、これだって12巻あるし、古本だがたしか2万円以上したはずである。学生時代の2万円は相当な大金だが、あの頃は「飯を抜いてでも好きなものを買う!」という心意気が通用した。
ちなみに家には『折口信夫全集』全32巻、なんてのもある。これは巻数の割には意外と安くて1冊あたり1000円。つまり3万2千円だった。
谷崎全集もあるな。生前刊行の半端なやつ。スイッチョンさんにあげる約束をして、まだ持ったまま。今度持って行きます(私信)。

大学は1年ちょっとで行かなくなってしまったのだが、大学図書館に出入りする身分を確保するためだけに「退学」ではなく「休学」にした。
講義には1つも出ないくせに、たまに大学図書館にはいるもんだから、僕が休学していることを知らない人も多かったかもしれない。
まぁそんなことも長くは続けられないから結局1年後には退学したんだけど。

あの頃って、本当に浴びるように本を読んでいたな。バイトしたお金は劇団の活動費と本だけに消えていた。飯は飲食店(カンテ)で働いていたから食えたし、服もカンテが当時やってたNPという服屋で社販で買うから安い。
タバコを買うお金がなかったから、最初の半月は普通にタバコを吸い、月の後半はその吸い殻を缶にためていたものを土産物屋で買った安いキセルに詰めて吸った。

冗談じゃなく本当にお金がなくて、当時履いていた靴の底が破れて穴が開いていたのをガムテープでぐるぐる巻いて履いていた。その当時つきあい始めた彼女がいて、まぁ今の相方なんだけど、今でもあのガムテープで補修した靴が忘れられないらしい。
「こんなビンボーな人はじめて見た」

こんなに貧乏なのに、本だけは月に数万円単位で買うのだ。いや、言い方を間違えた。こんなに本を買うから貧乏なのだ。
当時住んでいた淀川区の古い1Kのアパートの四畳半、部屋の真ん中に布団を敷き、出入り口と押し入れのある一方を除いて、三方すべて本が積んであった。

浴びるように本を読む、なんて今の生活じゃなかなかできないものね。貧乏はしたけど僕の人生の中では必要な時期だったろうと思う。
坂口安吾はそんな時期に読み込んでいた人である。

もう、いいとか悪いとか、そういう評価軸にはないな、坂口安吾って。
読み直してみると『安吾史譚』なんか相当にいいかげんな殴り書きだ。酔っぱらって殴り書きして推敲もしてないんだろう、と奥野健男が定本全集の解説で書いていた。多分そうなんだろうな。
小説も、けっこうひどいのがある。かと思うと唸るほど美しいものもあり、品質のバラツキが凄まじい。
でも、良いのも悪いのも、とにかく読み倒した。
僕の読書狂時代の、まさに土に鍬を入れまくっていた時代に読み込んだ人なので、今どんなつまらない失敗作を読んでも、その開墾の一鍬一鍬が思い出されて懐かしく嬉しい。
寺山修司もそうかな。
(澁澤龍彦もそうだと思ってこの前ちょっと拾い読みしてみたら、澁澤龍彦はなぜか全く乗れなかった。なんでだろう。)

今は『安吾新日本地理』と、『いずこへ』『白痴』などが入った文庫の短編集をバラバラにあっち読みこっち読みして楽しんでいる。
昼飯を抜いて、大学の学食前で知り合いを見つけては貰いタバコをしてタバコ代を浮かし、無理矢理作った金を持ってかっぱ横丁の加藤京文堂で安吾選集を買った日のことは今でも覚えている。
こういうビンボーというのは、やってる本人は楽しいものなのだ。


  1. 2007/06/24(日) 23:53:37|
  2. 読書狂
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
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コメント

なにげに中島らもも揃ってますね^^

市県民税が最低ランクだった頃、一番よく本を読んでいたような気がします。食費よりも何よりも本代に費やすお金のほうがはるかに高い、そんな時期がかなり続きました。

じゃあ、その頃読んでいた本が何かの役にたったのかというと、そんなことは全くないのですが、そもそも読むときに何かの役に立てようなんて考えてもいないですしね^_^);;

でも、そういう生活って、結構楽しいものです。
自分ひとりのことなので、貧乏とか意識もしてなかったような。
  1. 2007/06/25(月) 01:23:42 |
  2. URL |
  3. テロメア #oWMM.ioY
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テロメアさん

何かの役に立つような読書ほど面白くないものはありませんね(笑)
読書は無益なものです。無益な読書が楽しいのです。
ということを知ったのが一番有益だったことかもしれません。
  1. 2007/06/25(月) 01:28:24 |
  2. URL |
  3. カマウチ #7HtI5gQY
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堕落論

とか、何回も読んだ
青春の一冊やね

今の歳で初めて読んだら、感動しないかも。
10代の終わりくらいがちょうど洗脳されやすいんよな〜
  1. 2007/06/25(月) 10:26:58 |
  2. URL |
  3. たぬけ #-
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はじめまして。

アマニタパンセリナ久しぶりに読みたくなってきました。
なんだかアホな本なんですが好きでこの本だけ何回か読み返しました。
通勤に本を持っていないと落ち着かないのは中毒でしょうか?(笑

  1. 2007/06/25(月) 11:50:24 |
  2. URL |
  3. lukin #-
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たぬけN

『堕落論』いいね。今でも読めるよ、きっと。
『白痴』もいいぞー。『夜長姫と耳男』もいいぞー。
  1. 2007/06/25(月) 13:15:32 |
  2. URL |
  3. カマウチ #7HtI5gQY
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lukinさん

ようこそいらっしゃいませ。
らもさんでは『今夜すべてのバーで』が一番シビれました。ぞくぞくします、あれ。アル中にはならんとこ〜、と思いました。
  1. 2007/06/25(月) 13:17:28 |
  2. URL |
  3. カマウチ #7HtI5gQY
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はくちもよんだ

感動した(たしか)
今はまったく覚えてない
でも『捨ててはいけない本棚』
にちゃんとある。
夜長姫と耳男
読んでみよう

探偵ものも一冊読んだ
堕落論やはくちと全然違ってた
  1. 2007/06/25(月) 13:40:05 |
  2. URL |
  3. たぬけ #-
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たぬけN

あ、探偵ものは駄目(笑)
全然駄目。駄作。
  1. 2007/06/25(月) 13:42:51 |
  2. URL |
  3. カマウチ #7HtI5gQY
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