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「赤毛のアン」の秘密

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読書の覚え書き。

■小倉千加子『「赤毛のアン」の秘密』(岩波書店)

いきなりプリンス・エドワード島の風景の悪口と、カナダ本土ではとっくの昔に『アン』は忘れ去られた存在である、ということから書き始める冒頭部分からして、まさに『アン』ファンに喧嘩を売りまくっている。まずはとっつきの非常によろしくない本である。
敵意むき出しのサカムケヒリヒリ感。

しかしこの暗い痛々しい導入をそのまま通奏低音にして、最終章のいささか大袈裟な(?)仕掛けへと持って行く展開はなかなかの迫力だった。
むかつき、納得し、感心し、疑い、無理があるだろうと難じ、没入し、そう来るかと驚き、惚れ惚れし、もういいだろ、と再びムカツく。
面白いけど、読む方の感情としては非常に忙しい。

以前にも別のところで書いたことがあるが、何を隠そう僕も『赤毛のアン』を愛する一人だ。フリークというほどではないけれど、一応村岡花子訳と掛川恭子訳の読み比べくらいはやってるし、新潮文庫の村岡訳が好き勝手にモンゴメリの原文を切り刻んでいる、という程度の知識は持っている。

しかし結局『アン』が好き、といいながら、実は僕は四作目の途中くらいまでしか読んでいない。いつも三作目くらいまでは我慢して読むのだが、そのへんで息切れしてしまうのだ。
『赤毛のアン』は第一作が圧倒的に面白く(五〜六回は読んだ)、二作目まではなんとか興味深く読め(三回くらい読んだかな)、三つめあたりからは凡庸で退屈、そこで息切れ、だ。
その秘密も、この本を読めばわかる。

小倉千加子はフェミニズムの論客だが、この本の背表紙を見て、書店のレジに持って行こうとするのはフェミ本読者が半分とアン好き読者が半分だろう。
僕は二十歳前後のころ大阪某市の女性団体で事務のアルバイトをしていた時期があり、そこのリーダー(某市の市会議員でありフェミニズムの啓蒙家。故人)からいささか薫陶を受けているので、この条件に両方当てはまる。

しかしただのアン好き女性には、非常に不愉快な本だろうと思う。
じゃあ誰が読めばいいのか。
あ、僕か。

賛意と違和感が波状攻撃、という、非常にスリリングな本だった。
結果的に、小倉千加子、他にも読んでみよう、と思っている。思う壺ってやつである。


  1. 2008/03/09(日) 01:41:19|
  2. 読書狂
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